2006年06月12日

ピチカート・ファイヴ「Bellissima!」

ピチカート・ファイヴ「Bellisima!」初代のボーカリスト、佐々木麻美子が脱退し、オリジナル・ラヴの田島貴男を新たなボーカリストとして迎えて作られたアルバム「Bellissima!」。

今になって改めて聞き直してみると、その音作りや歌詞に、他のピチカートのアルバムには見られない「生真面目さ」を感じる。
そんな雰囲気が、他のアルバムとは違ったエヴァーグリーンな世界を作り出しているのかな、と言う気がしなくもない。
自分としては、信藤三雄のジャケットワークも含めて、ピチカート・ファイヴのアルバムの中では一番好きかな。

何と言っても、01「惑星」〜02「誘惑について」の2曲が自分的にはベストトラック。
田島貴男の書いたこの2曲は、この時期のピチカートでしか見ることの出来ない、メロウでソウルフルな世界観を体感できる。
02「誘惑について」は、「月面軟着陸」のバージョンもなかなか良いが、このオリジナルバージョンは、本当にシビれる1曲。
アーバンなソウル・フレーバー溢れる03「聖三角形」も、ソウルなピチカートを感じることの出来る好ナンバー。
これも田島作曲の曲で、ストリングスがスウィートな雰囲気を盛り上げてくれる。
田島作曲以外で言うと、高浪作曲の07「水泳」は、ブーガルー風のアレンジが、この時代のピチカートならではと言えるかも。
小西作曲の10「神の御業」は、ハープシコードの音色が印象的なバラード。
間奏部分では、ストリングスやコーラスが折り重なって、荘厳な雰囲気を作り上げている1曲。

そして、このアルバムの自分的な "裏" ハイライトは、06「日曜日の印象」。
やさぐれた男の1日を描きながら、イノセンスの喪失をテーマにしているとも受け取れる歌詞は、その後のピチカートからは考えられない曲ではある。
2年ほど前、当時の友人から、歌詞が染みると薦められて聞き直してみたのだけれど、確かにこの歌詞の物悲しい雰囲気には、何とも言えないシンパシーを感じる。
その曲調とともに、歌詞も含めて、なかなか離れられない1曲。

そんな06「日曜日の印象」に顕著だけれど、このアルバムの歌詞は、どうしてここまで喪失感に満ちているのだろうか……。
そういう面も含めて、好きなアルバムではあるのだけれども……。
そう言う反動が、次の「女王陛下のピチカート・ファイヴ」に表れたのだろうか……。


【収録曲】
01. 惑星
02. 誘惑について
03. 聖三角形
04. ワールド・スタンダード
05. カップルズ
06. 日曜日の印象
07. 水泳
08. セヴンティーン
09. これは恋ではない
10. 神の御業
posted by あれ at 01:57| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャパニーズポップ 80's | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月06日

越美晴「おもちゃ箱 第1幕」

越美晴「おもちゃ箱第1幕」初期のRVC時代のベスト盤のリリースが決定したと言うことで、越美晴の1st「おもちゃ箱 第1幕」をご紹介。
今では、ヨーロピアンで独自な雰囲気を築いている越美晴(コシミハル)だけれども、79年発表の1stアルバムは、坂本龍一や矢野誠、萩田光雄らをアレンジャーに迎えたシティポップ路線。

作詞作曲は、全て越美晴自身だけれど、参加ミュージシャンがかなり豪華。
アレンジを担当した、坂本龍一(Key)、矢野誠(Key)を始めとして、高橋幸宏(Dr)、後藤次利(B)、小原礼(B)、村松邦男(G)、松原正樹(G)、山下達郎(Cho)、吉田美奈子(Cho)
などなど。
サディスティックス、シュガーベイブ、パラシュートなどに在籍した腕利きミュージシャン達が多数参加。
意外な所では、羽田健太郎(Key)なんて人も参加してます。

01「気まぐれハイウェイ」〜02「夢を見させて」の2曲の流れが、個人的にはベスト。
ピアノを中心にして、ポップに展開するアンサンブルが魅力的。
05「恋はファニーフィーリング」は、メロディのポップさはもちろん、山下達郎、吉田美奈子のコーラスがイイ雰囲気です。
坂本龍一がアレンジとキーボードで参加した04「スヌーピー」は、NHKの「みんなのうた」っぽい感じの可愛らしい雰囲気の曲。
同じく坂本アレンジの09「五月の風」も、西海岸風の爽やかなメロディーが印象的なポップソング。
10「不思議な女の子」は、後藤次利のベースがファンキーでカッコイイのだけれど、そういったファンキーなノリが、越のボーカルとは不釣り合いな感じがして、ちょっと残念……。

当時は、女性版原田真二として売り出そうとした向きもあるようで、そう意識して聞いてみると、なるほどな、と言う雰囲気も感じるアルバム。
萩田光雄がアレンジに参加しているせいもあるのか、太田裕美的な路線がちょっと入ってるかな、と言う気はしなくもない。
細野晴臣の片腕として(?)活動している現在からは、なかなか想像できないかもしれませんが。


【収録曲】
01. 気まぐれハイウェイ
02. 夢を見させて
03. ラスト・ドライヴ
04. スヌーピー
05. 恋はファニー・フィーリング
06. ラヴ・ステップ
07. 海辺
08. 行かないでよ
09. 五月の風
10. 不思議な女の子
posted by あれ at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャパニーズポップ 70's | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月01日

木村恵子「STYLE」

木村恵子「STYLE」鈴木茂がプロデュースを手がけた木村恵子のデビューアルバム「STYLE」。
ちょっと気怠さ漂うアンニュイなボーカルが、鈴木のアレンジする曲に不思議とマッチしている。
作曲家陣には、木村恵子自身や鈴木茂の他に、杉真理、門あさ美などが参加し、作詞には、松本隆や湯川れい子らの名前が見える。

最初、岡崎友紀の「Do You Remember Me?」のカバーが収録されていると言うので興味を持った1枚。
しかも、アレンジが鈴木茂というのだから、期待は否応無しに高まった。
が、聞いてみた感想は、「意外とフツー………」。
そんな感じで「Do you remember me」には、ちょっと肩すかしを食らった形にはなったのだけれど、アルバムを通して聞いてみると、他の曲の方が圧倒的に良かった。

自分的なベストトラックは、02「泉に誘って」。
木村恵子の気怠いボーカルと、ボサノヴァ・アレンジの相性がとてもいい。
後に元パール兄弟の窪田晴男と、ケルカンと言うボサノヴァユニットを組む木村恵子だけあって、ボサ調の曲のボーカルは、結構ハマってる。

オープニングを飾る01「Good Morning」は、AOR風のシティーポップ・ナンバー。
鈴木茂の弾く、ギターのカッティングが心地いい1曲。
05「水の都」は、非常にロマンティックな曲調なのだが、メロディー以上に、この曲の松本隆の歌詞には、「作詞家」ではなく「詩人」としての才気を感じる。
やはり、木村恵子のアンニュイなボーカルのせいか、静かな曲の方がハマってるかな、と言う印象。

あと、木村恵子と言うと、永作博美の2ndアルバムで「恋と微笑みと花」と言う、ボッサな曲を書いている。
あまり知られていない曲だとは思うけれど、なかなかの名曲なので聞く機会がある人には、聴いてもらいたい1曲。
永作博美と言うと、今やすっかり女優になってしまったけど、シンガーとしても結構いい作品を残してるのですよ。

この「STYLE」というアルバム、「名盤!」と太鼓判を押す雰囲気ではないけれど、飽きがこないアルバムのような気がする。
「Lagoon」〜「Caution!」辺りのメロウな鈴木茂ワールドが好きな人なら、恐らく気持ちよく聞けるのではないかな、と思う1枚。
シティポップ好きには、01「Good Morning」〜02「泉に誘って」と言う冒頭2曲だけでも聞いてもらいたい。


【収録曲】
01. Good Morning
02. 泉に誘って
03. 電話しないで
04. シンジラレネーション
05. 水の都
06. コルトレーンで愛して
07. Do you remember me
08. 黒いマニキュア
09. Good-bye Eggman
10. シャレード'88
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2006年05月30日

谷村有美「Believe In」

谷村有美「Believe In」90年代初頭の「ガールポップ」シーンを引っ張るシンガーの一人だった谷村有美。
まだそんなシーンが登場する以前の87年にリリースされたデビューアルバムが、この「Believe In」。
当時はアイドル・シンガー的な存在として見られていて、「音楽通」の方には、あまり評価されてなかったと思うけれど、このアルバムを改めて聞き直してみて、実はかなり良さげなシティポップ・サウンドを響かせていたんだな、と実感。

このアルバム、全ての曲のアレンジは大村雅朗で、バックのミュージシャンのクレジットを見ると、ギターには松原正樹や松下誠、ドラムスには青山純、コーラスには木戸やすひろ等の名前を発見。
その辺りにもシティポップ的要素を感じることが出来るアルバムかな、と。

この「Believe In」、全編に渡って80'sなサウンド作りのアルバムだけれど、シティポップ・テイストを持った曲として特にあげるとしたら、04「星のダンスを見においで」06「BIRTHDAY」08「恋待月夜」の3曲かな。
中でも06「BIRTHDAY」は、初期の角松敏生や山下達郎などにも通じるリゾートな雰囲気満載のポップなナンバー。
ブラスのフレーズとギターのカッティングが、なかなか心地良い。
菊池桃子の「Ocean Side」がシティポップとして評価されるなら、この曲も同等に評価しても良いのではないかな?
04「星のダンスを見においで」は、ボサノヴァのリズムを取り入れたメロウなナンバーで、アコースティックギターのソロが、なかなか気持ちよい。
08「恋待月夜」は、イントロのカッティングから、寺尾聰の「Reflection」の曲たちを思い浮かべるアーバン・メロウな雰囲気の1曲。
何気なくCDを再生しただけだけれども、この3曲を再発見出来たのは、大きな収穫。

他の曲に関して言えば、アルバム冒頭の01「予感 - I'm Ready To Love」は、イントロのエレピを聴いた瞬間、「あ、このアルバムはシティポップと言える」と確信した1曲。
02「未完成」も、06「BIRTHDAY」に負けじとも劣らないリゾートソング。ちょっとラテンっぽいテイストの入った所が心地良い。
09「Gentle Rain に意地悪」も、ラテンっぽいサウンドにのせたポップなメロディーが心地良い1曲。
そして、デビューシングルでもあった03「Not For Sale」は、当時流行っていたスウィング・アウト・シスター風のアレンジが今聴くと懐かしくも心地良い。

デビューアルバムってことで、ボーカルがちょっと荒削りな面もあるけれど、それがまた初々しくて良いじゃないか、なんて思ったりして。
今聴くと、ちょっと厳しいナンバーもあるのだけれど、アルバム全体を通しての完成度は結構高い。
その独特な声質さえ気にならなかったら、確実に良いアルバムだと思うのだけれどな。
80年代サウンドが好きな人間なら、結構気に入るのでは?

きっと、誰も谷村有美をシティポップのシンガーだ、なんて言いそうにないけれど、10年ぶりくらいに、この1stを聴いてみて、シティポップのシンガーだと言える、と確信。
2ndアルバム以降、このアルバムのようなシティポップ路線の曲は激減するけれど、このアルバムは素直にいいアルバムです。
このアルバム、ブックオフ行けば100円で売ってたりするから、騙されたと思って聴いてみて欲しいですね。意外とイイ感じのアルバムですから。


【収録曲】
01. 予感〜I'm Ready To Love〜
02. 未完成
03. Not For Sale
04. 星のダンスを見においで
05. ためいき色のタペストリー
06. BIRTHDAY
07. Bye Bye Black Jack
08. 恋待月夜
09. Gentle Rain に意地悪
10. MELODY
posted by あれ at 00:37| Comment(2) | TrackBack(0) | ジャパニーズポップ 80's | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月28日

ブレッド&バター「BB★C」

ブレッド&バター「BB★C」ブレッド&バターが98年に発表したアルバム「BB★C」。
プロデュースに、カーネーションの直枝政太郎、棚谷祐一を迎え、バンドサウンドを前面に押し出したポップでファンキーな1枚。
バックの演奏を固めるのも、もちろんカーネーションの面々で、アルバムのタイトルも「Bread&Butter ★ Carnation」と言うことで付けられたと言うこと。

やはり、01「PINK SHADOW」がベストトラック。
山下達郎がライヴ盤「IT'S A POPPIN' TIME」でカバーしていることでも有名な曲だけれども、達郎のバージョンとはまた違った形で、ファンキーな味つけがしてあってカッコイイ。
達郎のバージョンよりも、比較的オリジナルに近いアレンジではあるけれど、カーネーションとのコラボレーションで、よりロック寄りに、よりファンキーに変貌。
間奏のスライドギターも、なかなかハマってる。

「PINK SHADOW」と同じく「Barbecue」に収録されていた「地下鉄」と「魔術」、「Mahae」収録の「DEVIL WOMAN」のリメイクも収録(「魔術」は「MAGIC」と改題)。
06「地下鉄」の基本的なアレンジは、オリジナルとほぼ同じなのだけれども、バンド然とした音作りが、オリジナルよりも骨太な印象を残してカッコイイ。
07「MAGIC」は、ちょっとリズムに味をつけすぎているようで(少しサイケっぽい気もする)、こっちはオリジナルの方が好きだったかな。
04「DEVIL WOMAN」は、オリジナルのファンキーな印象は残しながらも、AOR風にリメイク。

その他の曲では、作詞・作曲に直枝が参加している02「DOLPHIN」も、かなりイイ。
カーネーションのような音作りで、カーネーションが好きな人は結構ハマるかも(所々を直枝がボーカルを取っている)。
それから、スティーヴィー・ワンダーのカバー03「REMEMBER MY LOVE」も、ハネたリズムが心地良い1曲。
この曲の音作りも、カーネーションっぽさを随所に感じる。
田村玄一のペダルスティールを全面的にフィーチャーしている05「いつから」は、かつてのフォーキーな雰囲気のブレバタを思い起こさせる。

ブレッド&バターというと、その時代、その時代に合わせて、過去作のリメイクをしている印象があるけれども、このアルバムは、カーネーションとのコラボレーションによって「ロック」の方面に針が振れているアルバムかな。
オリジナル・アレンジにこだわりがある人も居るかもしれないけれど、このアルバムはこのアルバムで、骨太のアレンジで非常にカッコイイ。
最近、初期ばかりに評価が集まってる印象があるけれど、今も現役のグループなのだから、最近の活動にも目を向けて欲しいなぁ、と感じる今日この頃。


【収録曲】
01. PINK SHADOW
02. DOLPHIN
03. REMEMBER MY LOVE
04. DEVIL WOMAN
05. いつから
06. 地下鉄
07. MAGIC
08. ENDLESS STREAM
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2006年05月27日

中島ちあき「Girl's Life」

中島ちあき「Girl's Life」今回は、中島ちあきのミニアルバム「Girl's Life」をご紹介。
あまり知られていないシンガーかもしれないけれども、自分はそこそこ好きなシンガーです。
簡単に説明すると、中島ちあきと言う人は、98年にシンガーとしてデビューし、シングル3枚、ミニアルバム2枚、アルバム1枚を残した以後、歌手活動は凍結してる模様(その後、女優業をしていたらしいが、詳細は不明)。

このミニアルバム、サウンド・プロデュースが安部恭弘ということで(クレジットの表記は安部泰弘)、音作りに関しては手堅い出来。
しかも、エグゼクティブ・プロデューサーに、初期の竹内まりやのプロデュースを手がけていた、牧村憲一が名前を連ねていて、そんな点からも「あの頃の」シティポップのテイストを90年代に甦らせた作品、と言ってもいいのかもしれない。

そんなミニアルバムの中で、自分的には、一番聞き所だと思ってるのが、竹内まりやのカバーの03「五線紙」。
オリジナルは、竹内まりやの3rdアルバム「Love Songs」に収録されている曲。
元の曲がいいと言うのもあるけれど、シンプルなポップソングに、中島ちあきの湿り気を帯びながらも、ちょっとキュートな雰囲気のボーカルが、なかなかイイ感じ。
余談になるが、この「五線紙」って曲、安部恭弘自身も「Passage」というアルバムでカバーしていたりするので、思い入れのある曲なのかもしれない。
松本隆の歌詞もいいし、やっぱり名曲であるし、愛着が湧くのも分かる。

02「Moonshine Serenade」は、なかなか良い感じの3連系のポップバラード。
途中、語りの部分があるのは、吉田美奈子(シリア・ポール)の「夢で逢えたら」へのオマージュだったりするのかな?
この曲もサウンド的には、初期の竹内まりやに通じる部分があるように思う。
04「LOVE」は、ピアノをバックに唄われる、シンプルなバラード。
ストリングスをフィーチャーしているけれども、大仰なアレンジにならず、歌にそっと寄り添うような形で曲を支えているのに好感が持てる。

そんな感じで、結構好きなシンガーであるのだけれど、1stアルバムの「Radio Days」が、なかなか見つからない……。
やっぱり、こういう「埋もれたシティポップ」を発掘するのは、結構骨が折れる作業なのかもしれない。
発売当時に、この手の音楽にハマっていたら、何の苦労もなく手に入れられたんだろうけど……。
今さらそんな事を思っても後の祭りなので、地道に中古盤屋をチェックします……。


【収録曲】
01. Back To Tomorrow
02. Moonshine Serenade
03. 五線紙
04. Love
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2006年05月26日

EPO「PUMP! PUMP!」

EPO「PIMP! PUMP!」EPOの86年発表のアルバム「PUMP! PUMP!」。
アレンジャーに、清水信之、松村邦男、佐藤博などが参加。
第一印象で、割と好きな音だな、と思ったけれど、このスタッフを見て、自分が好きなのも納得。

自分的にこのアルバムのハイライトと言えるのは10「12月のエイプリルフール」。
佐藤博の控えめなアレンジが、メロディーの良さを浮き出させているシンプルなバラード。
EPOのバラードの中では、マスターピースと呼べる曲なんじゃないかな。
「Winter Gift Pop」と言うオムニバス盤で、伊豆田洋之がカバーしているのだけれど、そちらのバージョンも、かなり良い出来。

シングルとしてリリースされた02「音楽のような風」は、CMソングとして耳にしていた曲だけれど、改めて聞いてみても、ポップでいい曲だなぁ、と感じた。
アレンジを手がけた清水信之もノリにノッてる時期だというのも、よくわかる。
他に、清水信之が手がけた07「渚のモニュメント」や01「太陽にPUMP! PUMP!」も、ポップでなかなか良い感じ。
この「EPO+清水信之」と言う組み合わせは、かなり相性が良いのでは?

そう言う「ポップス」としてのEPOだけでも、十分に評価できるアルバムだけれど、このアルバムには、フリーソウル的な評価ができるナンバーも収録。
まずオリジナル曲では、06「アレイ・キャッツ」が、グルーヴィでカッコイイ。
アレンジは、鈴木さえ子で、当時はパール兄弟だった窪田晴男のギター・カッティングが、かなりイカしてる。
そして、意外な所で、スピナーズの「It's A Shame」のカバーが収録されている。
村松邦男によるギター・カッティングは心地良いのだけれど、打ち込みのドラムがちょっと単調なのが残念かな。でも、元の曲がいいので、結構聞ける。

それにしても、このCD、ボーナストラックに11「すてきなジェニー」(お人形さんジェニーのCMソング)が収録されてるのだけれど、せっかく「12月のエイプリルフール」でしっとり終ってるのに、それをブチ壊してるな……。
せめて、曲と曲のインターバルを大きく取ったりできなかったものか……。
そんな感じで、ボートラの善し悪しについて、考えさせられるCDではあったけど、「PUMP! PUMP!」と言うアルバムは、かなり好きですね。


【収録曲】
01. 太陽に PUMP! PUMP!
02. 音楽のような風
03. ナーヴァス
04. スウィート・エモーション
05. イッツ・ア・シェイム
06. アレイ・キャッツ
07. 渚のモニュメント
08. りそうのスタイル、悲しき個性
09. 切りすぎた前髪
10. 12月のエイプリルフール

*bonus Track
11. すてきなジェニー
posted by あれ at 00:01| Comment(1) | TrackBack(0) | ジャパニーズポップ 80's | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月25日

小坂忠「ほうろう」

小坂忠「ほうろう」ジャパニーズ・フリーソウルのマスターピース、小坂忠の「ほうろう」。
今さら、自分のような人間がわざわざ言う必要などないけど、このアルバムは名盤中の名盤。
いわゆる「シティポップ」の概念から、少しズレるかもしれないけれども、シティポップが生まれる土壌には、こういうアルバムもあった、と言う事でご紹介。

初期のソロ作では、牧歌的な匂いのするフォーク調のナンバーを唄っていた小坂忠が、ティンパンアレーを率いて突如としてR&B色の強いアルバムを発表。
このアルバム、やはり参加メンバーがスゴイ。
プロデュースが細野晴臣と小坂忠の共同で行われ、細野晴臣(B)、林立夫(Dr)、鈴木茂(G)、松任谷正隆(Key)と言うティンパンアレー陣営が演奏の核となり、コーラスには、山下達郎、吉田美奈子、大貫妙子、ホーンとストリングスのアレンジは矢野誠と、ティンパン・ファミリーが一堂に会している。

カッコ良さ、という点で言えば05「ゆうがたラブ」のグルーヴ感は、他に変えがたいものがある。
細野&林のファンキーなリズム隊に、鈴木のギターと松任谷のクラビネットが絡み合い、吉田美奈子のコーラスが、更にソウルフルな面を盛り上げる。
去年の夏、埼玉県の狭山で開かれた HYDE PARK MUSIC FESTIVAL でも、この曲は披露されたけれど、その時の"2005年バージョン"も、かなりカッコ良かった。
ジャパニーズ・ファンクの傑作の一つ。

ジャパニーズ・レアグルーヴと言った観点で言えば、小沢健二もカバーした06「しらけちまうぜ」も外せない。
ポップなメロディーながらも、70年代のソウル風なアレンジがキマっている。
自分としては、マーヴィン・ゲイやスティーヴィー・ワンダーの諸作と比べても、何ら遜色のない出来だと思っている。

このアルバムは、書き下ろしのナンバーの他に、カバーやリメイクも入っているのも一つの特徴。

04「氷雨月のスケッチ」09「ふうらい坊」の2曲は、はっぴいえんどのカバー。
どちらも、はっぴいえんどのオリジナルを、ソウルフルに翻案してカバーしたような雰囲気。
そして、そのようなソウルな雰囲気が、小坂のボーカルにハマっている名カバー。
02「機関車」は、1st「ありがとう」の中で唄われた曲のリメイクバージョン。
1stのカントリー風のアレンジよりも、ソウルフルに変身した「ほうろう」バージョンの方が、メロディーの良さや、歌詞の深みなどをより味わえるようになったと思う。
07「流星都市」は、細野、小坂らが組んでいたバンド、エイプリルフールの「タンジール」のリメイク作。
エイプリルフールにあった「ニューロック」とした雰囲気を排除して、かなりソウルフルなアレンジに生まれ変わっている(当然自分は「ほうろう」のバージョンの方が好き)。

正直な所、自分は、最初に聞いた時はこのアルバムの良さが分からなかった。
「しらけちまうぜ」のポップな雰囲気は好きだったけれど、他の曲の良さが分かるまで、かなりの時間がかかったような……。
でも、その時間がかかった分だけ、濃い時間を過ごしたのか、今では愛聴盤の一つ。
やはり、簡単に分かってしまうようなものは、飽きるのも早いってことなのかもしれない。

自分が、ティンパンアレーが関わった様々な音源を聞くようになったのは、もしかしたらこのアルバムがきっかけだったのかもしれないな、と今になるとそう思えてくる。


【収録曲】
01. ほうろう
02. 機関車
03. ボン・ボヤージ波止場
04. 氷雨月のスケッチ
05. ゆうがたラブ
06. しらけちまうぜ
07. 流星都市
08. つるべ糸
09. ふうらい坊
posted by あれ at 00:26| Comment(2) | TrackBack(0) | ジャパニーズポップ 70's | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月23日

太田裕美「海が泣いている」

太田裕美「海が泣いている」78年にリリースされた太田裕美のアルバム「海が泣いている」。L.A.でレコーディングされた9作目。
全曲、作詞:松本隆、作曲:筒美京平という、「木綿のハンカチーフ」を生み出したコンビによる作品。
レコーディングには、リー・リトナーなどの現地ミュージシャンを起用し、アレンジャーには、太田裕美作品の常連・萩田光雄の他に、サイモン&ガーファンクルの「明日にかける橋」などを手がけたジミー・ハスケルらが参加している。

このアルバムは、何と言っても01「スカーレットの毛布」に尽きる。
リー・リトナーによるギター・カッティングが心地良い、メロウグルーヴなナンバー。
16ビートを刻むドラムスに、リトナーのギターなど、フュージョンのテイストが満載のナンバーなので、シティポップ好きの間でも、もっと評価されても良いのでは?
77年の「こけてぃっしゅ」もシティポップ的な評価が高い作品だけれども、それ以外のアルバムも聞き逃せないことを実感。

その他の曲を紹介すると、03「茉莉の結婚」は、メロディーがフォーク調ながら、サウンドはかなりL.A.風。
歌詞も、かなりドメスティックな雰囲気ではあるのだけれど、リトナーのギターソロは、一聴の価値はある。
レゲエのリズムをポップに消化した07「ナイーブ」も、ちょっと変則的ながら、なかなか良い雰囲気のポップソング。
10「∞(アンリミテッド)」は、ちょっとディスコ寄りのアレンジではあるけれども、シティポップの範疇に入れてもいいかな、というナンバー。
グルーヴィーなベースラインが、なかなかカッコ良い。

アルバム全体を通して聞くと、ちょっとフォーク色が強い面も感じるけれども、シティポップ好きなら「スカーレットの毛布」だけでもを聞いてみる価値はある。
筒美京平好きが、思わぬ所で役立ったと思った瞬間。


【収録曲】
01. スカーレットの毛布
02. 振り向けばイエスタディ
03. 茉莉の結婚
04. Nenne
05. 街の雪
06. 海が泣いている
07. ナイーブ
08. 水鏡
09. 女優(ヒロイン)
10. ∞(アンリミテッド)
posted by あれ at 23:38| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャパニーズポップ 70's | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月22日

楠瀬誠志郎「冒険者たち」

楠瀬誠志郎「冒険者たち」これからの季節にピッタリの夏向けのアルバム、楠瀬誠志郎が87年に発表した2ndアルバム「冒険者たち」。
楠瀬誠志郎と言うと、一般的には「ほっとけないよ」のシングルヒットで知っている人が多いのかもしれないけれど、自分的には、このアルバムのタイトルチューン「冒険者たち」が彼のベストトラック。

初期の楠瀬誠志郎と言うと、何と言っても一人多重コーラスの魅力だろう。
一人多重コーラスと言うと、山下達郎が思い起こされるが、達郎のものよりも、個人的には楠瀬のコーラスの方が好き。
楠瀬のハイトーンのボイスが、非常に爽やかで、自分の感覚にフィットするのかな。
デビュー前は、杉真理や安部恭弘、EPOなどのバックコーラスとして活動していたこともあるらしい。

このアルバム、何と言っても「夏」を思い起こさずにいられない、爽やかなアルバム。
そんな雰囲気を演出しているのは、楠瀬の作るメロディーの他に、井上鑑によるアレンジの力も大きいのかもしれない(03、04は岡田徹のアレンジだが)。

01「〜Prologue〜冒険者たち」、アコースティックギターによる短いインストを受けて、アルバムのタイトルチューン「冒険者たち」がスタート。
この曲を聞くと、本当に「夏」を思い起こさずにいられない。
井上鑑の爽快感あふれるアレンジに、流れるようなメロディーライン、そこに楠瀬の多重コーラスが重なって、さわやかな「夏の風」と言うような印象を残す曲。
ちなみに、この曲にはコーラスアレンジとしてHi-Fi Setの山本俊彦が参加。
この曲は、中学生の頃、FM横浜でCMがかなり流れていた記憶がある。
そんな事を今まで覚えているってことは、やっぱり曲として印象が強かったんだろう。

その他の曲で言うと、02「トゥ・ラ・ジュール-日々の港-」が、ポップなメロディーに、ちょっとボサが入ったアレンジが良さげな曲。
04「君の選んだ小さな傘」は、杉真理がコーラスとコーラスアレンジに参加。
そのせいか、どことなく杉ナンバーに通じる雰囲気を感じる。
いわゆるAOR風な雰囲気を持った08「Highwayの憂うつ」も、なかなかの佳曲。
楠瀬自身のピアノによって唄われる09「Thousand Times」は、メロディーが美しい静かなナンバー。
ちょっとアーバンなビートを奏でる06「Elevator Town」や07「Movin' Night」みたいな曲もあるけれど、ちょっと楠瀬のボーカルの雰囲気ではないかな……。
やっぱり、この人はポップなナンバーの方が似合うように思う。

今日の陽気に誘われて、久々に棚の奥から引っ張り出してきたけれど、何となくこれからの季節によく聞くようになるアルバムではないかな、と思った。


【収録曲】
01. 〜Prologue〜 冒険者たち
02. トゥ・ラ・ジュール - 日々の港 -
03. バニラエッセンス
04. 君の選んだ小さな傘
05. Sugar Stick
06. Elevator Town
07. Movin' Night
08. Highwayの憂うつ
09. Thousand Times
posted by あれ at 00:03| Comment(2) | TrackBack(0) | ジャパニーズポップ 80's | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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