2006年06月12日

ピチカート・ファイヴ「Bellissima!」

ピチカート・ファイヴ「Bellisima!」初代のボーカリスト、佐々木麻美子が脱退し、オリジナル・ラヴの田島貴男を新たなボーカリストとして迎えて作られたアルバム「Bellissima!」。

今になって改めて聞き直してみると、その音作りや歌詞に、他のピチカートのアルバムには見られない「生真面目さ」を感じる。
そんな雰囲気が、他のアルバムとは違ったエヴァーグリーンな世界を作り出しているのかな、と言う気がしなくもない。
自分としては、信藤三雄のジャケットワークも含めて、ピチカート・ファイヴのアルバムの中では一番好きかな。

何と言っても、01「惑星」〜02「誘惑について」の2曲が自分的にはベストトラック。
田島貴男の書いたこの2曲は、この時期のピチカートでしか見ることの出来ない、メロウでソウルフルな世界観を体感できる。
02「誘惑について」は、「月面軟着陸」のバージョンもなかなか良いが、このオリジナルバージョンは、本当にシビれる1曲。
アーバンなソウル・フレーバー溢れる03「聖三角形」も、ソウルなピチカートを感じることの出来る好ナンバー。
これも田島作曲の曲で、ストリングスがスウィートな雰囲気を盛り上げてくれる。
田島作曲以外で言うと、高浪作曲の07「水泳」は、ブーガルー風のアレンジが、この時代のピチカートならではと言えるかも。
小西作曲の10「神の御業」は、ハープシコードの音色が印象的なバラード。
間奏部分では、ストリングスやコーラスが折り重なって、荘厳な雰囲気を作り上げている1曲。

そして、このアルバムの自分的な "裏" ハイライトは、06「日曜日の印象」。
やさぐれた男の1日を描きながら、イノセンスの喪失をテーマにしているとも受け取れる歌詞は、その後のピチカートからは考えられない曲ではある。
2年ほど前、当時の友人から、歌詞が染みると薦められて聞き直してみたのだけれど、確かにこの歌詞の物悲しい雰囲気には、何とも言えないシンパシーを感じる。
その曲調とともに、歌詞も含めて、なかなか離れられない1曲。

そんな06「日曜日の印象」に顕著だけれど、このアルバムの歌詞は、どうしてここまで喪失感に満ちているのだろうか……。
そういう面も含めて、好きなアルバムではあるのだけれども……。
そう言う反動が、次の「女王陛下のピチカート・ファイヴ」に表れたのだろうか……。


【収録曲】
01. 惑星
02. 誘惑について
03. 聖三角形
04. ワールド・スタンダード
05. カップルズ
06. 日曜日の印象
07. 水泳
08. セヴンティーン
09. これは恋ではない
10. 神の御業
posted by あれ at 01:57| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャパニーズポップ 80's | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月01日

木村恵子「STYLE」

木村恵子「STYLE」鈴木茂がプロデュースを手がけた木村恵子のデビューアルバム「STYLE」。
ちょっと気怠さ漂うアンニュイなボーカルが、鈴木のアレンジする曲に不思議とマッチしている。
作曲家陣には、木村恵子自身や鈴木茂の他に、杉真理、門あさ美などが参加し、作詞には、松本隆や湯川れい子らの名前が見える。

最初、岡崎友紀の「Do You Remember Me?」のカバーが収録されていると言うので興味を持った1枚。
しかも、アレンジが鈴木茂というのだから、期待は否応無しに高まった。
が、聞いてみた感想は、「意外とフツー………」。
そんな感じで「Do you remember me」には、ちょっと肩すかしを食らった形にはなったのだけれど、アルバムを通して聞いてみると、他の曲の方が圧倒的に良かった。

自分的なベストトラックは、02「泉に誘って」。
木村恵子の気怠いボーカルと、ボサノヴァ・アレンジの相性がとてもいい。
後に元パール兄弟の窪田晴男と、ケルカンと言うボサノヴァユニットを組む木村恵子だけあって、ボサ調の曲のボーカルは、結構ハマってる。

オープニングを飾る01「Good Morning」は、AOR風のシティーポップ・ナンバー。
鈴木茂の弾く、ギターのカッティングが心地いい1曲。
05「水の都」は、非常にロマンティックな曲調なのだが、メロディー以上に、この曲の松本隆の歌詞には、「作詞家」ではなく「詩人」としての才気を感じる。
やはり、木村恵子のアンニュイなボーカルのせいか、静かな曲の方がハマってるかな、と言う印象。

あと、木村恵子と言うと、永作博美の2ndアルバムで「恋と微笑みと花」と言う、ボッサな曲を書いている。
あまり知られていない曲だとは思うけれど、なかなかの名曲なので聞く機会がある人には、聴いてもらいたい1曲。
永作博美と言うと、今やすっかり女優になってしまったけど、シンガーとしても結構いい作品を残してるのですよ。

この「STYLE」というアルバム、「名盤!」と太鼓判を押す雰囲気ではないけれど、飽きがこないアルバムのような気がする。
「Lagoon」〜「Caution!」辺りのメロウな鈴木茂ワールドが好きな人なら、恐らく気持ちよく聞けるのではないかな、と思う1枚。
シティポップ好きには、01「Good Morning」〜02「泉に誘って」と言う冒頭2曲だけでも聞いてもらいたい。


【収録曲】
01. Good Morning
02. 泉に誘って
03. 電話しないで
04. シンジラレネーション
05. 水の都
06. コルトレーンで愛して
07. Do you remember me
08. 黒いマニキュア
09. Good-bye Eggman
10. シャレード'88
posted by あれ at 02:18| Comment(2) | TrackBack(0) | ジャパニーズポップ 80's | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月30日

谷村有美「Believe In」

谷村有美「Believe In」90年代初頭の「ガールポップ」シーンを引っ張るシンガーの一人だった谷村有美。
まだそんなシーンが登場する以前の87年にリリースされたデビューアルバムが、この「Believe In」。
当時はアイドル・シンガー的な存在として見られていて、「音楽通」の方には、あまり評価されてなかったと思うけれど、このアルバムを改めて聞き直してみて、実はかなり良さげなシティポップ・サウンドを響かせていたんだな、と実感。

このアルバム、全ての曲のアレンジは大村雅朗で、バックのミュージシャンのクレジットを見ると、ギターには松原正樹や松下誠、ドラムスには青山純、コーラスには木戸やすひろ等の名前を発見。
その辺りにもシティポップ的要素を感じることが出来るアルバムかな、と。

この「Believe In」、全編に渡って80'sなサウンド作りのアルバムだけれど、シティポップ・テイストを持った曲として特にあげるとしたら、04「星のダンスを見においで」06「BIRTHDAY」08「恋待月夜」の3曲かな。
中でも06「BIRTHDAY」は、初期の角松敏生や山下達郎などにも通じるリゾートな雰囲気満載のポップなナンバー。
ブラスのフレーズとギターのカッティングが、なかなか心地良い。
菊池桃子の「Ocean Side」がシティポップとして評価されるなら、この曲も同等に評価しても良いのではないかな?
04「星のダンスを見においで」は、ボサノヴァのリズムを取り入れたメロウなナンバーで、アコースティックギターのソロが、なかなか気持ちよい。
08「恋待月夜」は、イントロのカッティングから、寺尾聰の「Reflection」の曲たちを思い浮かべるアーバン・メロウな雰囲気の1曲。
何気なくCDを再生しただけだけれども、この3曲を再発見出来たのは、大きな収穫。

他の曲に関して言えば、アルバム冒頭の01「予感 - I'm Ready To Love」は、イントロのエレピを聴いた瞬間、「あ、このアルバムはシティポップと言える」と確信した1曲。
02「未完成」も、06「BIRTHDAY」に負けじとも劣らないリゾートソング。ちょっとラテンっぽいテイストの入った所が心地良い。
09「Gentle Rain に意地悪」も、ラテンっぽいサウンドにのせたポップなメロディーが心地良い1曲。
そして、デビューシングルでもあった03「Not For Sale」は、当時流行っていたスウィング・アウト・シスター風のアレンジが今聴くと懐かしくも心地良い。

デビューアルバムってことで、ボーカルがちょっと荒削りな面もあるけれど、それがまた初々しくて良いじゃないか、なんて思ったりして。
今聴くと、ちょっと厳しいナンバーもあるのだけれど、アルバム全体を通しての完成度は結構高い。
その独特な声質さえ気にならなかったら、確実に良いアルバムだと思うのだけれどな。
80年代サウンドが好きな人間なら、結構気に入るのでは?

きっと、誰も谷村有美をシティポップのシンガーだ、なんて言いそうにないけれど、10年ぶりくらいに、この1stを聴いてみて、シティポップのシンガーだと言える、と確信。
2ndアルバム以降、このアルバムのようなシティポップ路線の曲は激減するけれど、このアルバムは素直にいいアルバムです。
このアルバム、ブックオフ行けば100円で売ってたりするから、騙されたと思って聴いてみて欲しいですね。意外とイイ感じのアルバムですから。


【収録曲】
01. 予感〜I'm Ready To Love〜
02. 未完成
03. Not For Sale
04. 星のダンスを見においで
05. ためいき色のタペストリー
06. BIRTHDAY
07. Bye Bye Black Jack
08. 恋待月夜
09. Gentle Rain に意地悪
10. MELODY
posted by あれ at 00:37| Comment(2) | TrackBack(0) | ジャパニーズポップ 80's | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月26日

EPO「PUMP! PUMP!」

EPO「PIMP! PUMP!」EPOの86年発表のアルバム「PUMP! PUMP!」。
アレンジャーに、清水信之、松村邦男、佐藤博などが参加。
第一印象で、割と好きな音だな、と思ったけれど、このスタッフを見て、自分が好きなのも納得。

自分的にこのアルバムのハイライトと言えるのは10「12月のエイプリルフール」。
佐藤博の控えめなアレンジが、メロディーの良さを浮き出させているシンプルなバラード。
EPOのバラードの中では、マスターピースと呼べる曲なんじゃないかな。
「Winter Gift Pop」と言うオムニバス盤で、伊豆田洋之がカバーしているのだけれど、そちらのバージョンも、かなり良い出来。

シングルとしてリリースされた02「音楽のような風」は、CMソングとして耳にしていた曲だけれど、改めて聞いてみても、ポップでいい曲だなぁ、と感じた。
アレンジを手がけた清水信之もノリにノッてる時期だというのも、よくわかる。
他に、清水信之が手がけた07「渚のモニュメント」や01「太陽にPUMP! PUMP!」も、ポップでなかなか良い感じ。
この「EPO+清水信之」と言う組み合わせは、かなり相性が良いのでは?

そう言う「ポップス」としてのEPOだけでも、十分に評価できるアルバムだけれど、このアルバムには、フリーソウル的な評価ができるナンバーも収録。
まずオリジナル曲では、06「アレイ・キャッツ」が、グルーヴィでカッコイイ。
アレンジは、鈴木さえ子で、当時はパール兄弟だった窪田晴男のギター・カッティングが、かなりイカしてる。
そして、意外な所で、スピナーズの「It's A Shame」のカバーが収録されている。
村松邦男によるギター・カッティングは心地良いのだけれど、打ち込みのドラムがちょっと単調なのが残念かな。でも、元の曲がいいので、結構聞ける。

それにしても、このCD、ボーナストラックに11「すてきなジェニー」(お人形さんジェニーのCMソング)が収録されてるのだけれど、せっかく「12月のエイプリルフール」でしっとり終ってるのに、それをブチ壊してるな……。
せめて、曲と曲のインターバルを大きく取ったりできなかったものか……。
そんな感じで、ボートラの善し悪しについて、考えさせられるCDではあったけど、「PUMP! PUMP!」と言うアルバムは、かなり好きですね。


【収録曲】
01. 太陽に PUMP! PUMP!
02. 音楽のような風
03. ナーヴァス
04. スウィート・エモーション
05. イッツ・ア・シェイム
06. アレイ・キャッツ
07. 渚のモニュメント
08. りそうのスタイル、悲しき個性
09. 切りすぎた前髪
10. 12月のエイプリルフール

*bonus Track
11. すてきなジェニー
posted by あれ at 00:01| Comment(1) | TrackBack(0) | ジャパニーズポップ 80's | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月22日

楠瀬誠志郎「冒険者たち」

楠瀬誠志郎「冒険者たち」これからの季節にピッタリの夏向けのアルバム、楠瀬誠志郎が87年に発表した2ndアルバム「冒険者たち」。
楠瀬誠志郎と言うと、一般的には「ほっとけないよ」のシングルヒットで知っている人が多いのかもしれないけれど、自分的には、このアルバムのタイトルチューン「冒険者たち」が彼のベストトラック。

初期の楠瀬誠志郎と言うと、何と言っても一人多重コーラスの魅力だろう。
一人多重コーラスと言うと、山下達郎が思い起こされるが、達郎のものよりも、個人的には楠瀬のコーラスの方が好き。
楠瀬のハイトーンのボイスが、非常に爽やかで、自分の感覚にフィットするのかな。
デビュー前は、杉真理や安部恭弘、EPOなどのバックコーラスとして活動していたこともあるらしい。

このアルバム、何と言っても「夏」を思い起こさずにいられない、爽やかなアルバム。
そんな雰囲気を演出しているのは、楠瀬の作るメロディーの他に、井上鑑によるアレンジの力も大きいのかもしれない(03、04は岡田徹のアレンジだが)。

01「〜Prologue〜冒険者たち」、アコースティックギターによる短いインストを受けて、アルバムのタイトルチューン「冒険者たち」がスタート。
この曲を聞くと、本当に「夏」を思い起こさずにいられない。
井上鑑の爽快感あふれるアレンジに、流れるようなメロディーライン、そこに楠瀬の多重コーラスが重なって、さわやかな「夏の風」と言うような印象を残す曲。
ちなみに、この曲にはコーラスアレンジとしてHi-Fi Setの山本俊彦が参加。
この曲は、中学生の頃、FM横浜でCMがかなり流れていた記憶がある。
そんな事を今まで覚えているってことは、やっぱり曲として印象が強かったんだろう。

その他の曲で言うと、02「トゥ・ラ・ジュール-日々の港-」が、ポップなメロディーに、ちょっとボサが入ったアレンジが良さげな曲。
04「君の選んだ小さな傘」は、杉真理がコーラスとコーラスアレンジに参加。
そのせいか、どことなく杉ナンバーに通じる雰囲気を感じる。
いわゆるAOR風な雰囲気を持った08「Highwayの憂うつ」も、なかなかの佳曲。
楠瀬自身のピアノによって唄われる09「Thousand Times」は、メロディーが美しい静かなナンバー。
ちょっとアーバンなビートを奏でる06「Elevator Town」や07「Movin' Night」みたいな曲もあるけれど、ちょっと楠瀬のボーカルの雰囲気ではないかな……。
やっぱり、この人はポップなナンバーの方が似合うように思う。

今日の陽気に誘われて、久々に棚の奥から引っ張り出してきたけれど、何となくこれからの季節によく聞くようになるアルバムではないかな、と思った。


【収録曲】
01. 〜Prologue〜 冒険者たち
02. トゥ・ラ・ジュール - 日々の港 -
03. バニラエッセンス
04. 君の選んだ小さな傘
05. Sugar Stick
06. Elevator Town
07. Movin' Night
08. Highwayの憂うつ
09. Thousand Times
posted by あれ at 00:03| Comment(2) | TrackBack(0) | ジャパニーズポップ 80's | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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