
L⇔Rの音楽は、様々なポップスのエッセンスを凝縮したカラフルなポップワールドが展開されていた感じだけれども、この健一の1stソロは、よりオーソドックスに、よりスタンダードに「ポップス」と言うものを真正面で捉えたような雰囲気。
アンサンブルの中心が、ギター、ベース、ドラム、ピアノと言うシンプルな編成になっているあたりが、そう感じる原因なのかな。
プロデュースは、健一とL⇔Rでもアレンジで参加していた遠山裕との共同プロデュース。
参加ミュージシャンは、共同プロデューサーの遠山裕(key)の他に、元キングクリムゾンのトニー・レヴィン(B)や、当時Dr.Strangeloveとして活動していた長田進(G)、根岸孝旨(B)、古田たかし(Dr)、L⇔Rのプロデューサーであった岡井大二(Dr)など。
アコースティックでメロディアスなナンバー01「Oh, Why」で幕を開け、矢継ぎ早に言葉を叩き付けるようなロックナンバー02「Rock'n Roll」へ。
01「Oh, Why」でのフレットレスベース、02「Rock'n Roll」での激しく動き回るベースラインなど、トニー・レヴィンのベースも、アクセントとしてなかなかイイ効果を上げている印象。
05「Mad Man Across The Water」は、黒沢健一のメロディーメーカーとしての凝縮されている1曲。
ピアノとアコースティックギターをバッキングの中心にして、優しげに唄う健一が印象的。
英語で唄われる06「Easy Romance」は、初期イーグルス風とでも言えばいいのか、アメリカン・ロックなテイストの爽やかな印象のポップナンバー。
ビートルズの「I Will」のような曲を作りたかったと言う07「Morning Sun」は、何年経っても自分の中でのベストトラック。
パーカッションとアコースティック・ギターのシンプルな伴奏に、柔らかいボーカルで優しげなメロディーを歌っている雰囲気がとてもいい。
先行シングルとなった08「Wondering」は、メロディーメーカーとしての黒沢健一を十分堪能できるナンバー。
シングルカットされただけあって、この曲がL⇔Rで歌っていた雰囲気に一番近い曲かな?
この作品のあと「B」と「New Voice」というソロアルバムをリリースするけれど、自分的にはこの「first」がソロアルバムとしてはベストかな。
このアルバムのように、メロディーが浮き立つようなシンプルな演奏を聴かせた方が、メロディーメーカーとしての黒沢健一、ボーカリストとしての黒沢健一の魅力が発揮されるように思う。
【収録曲】
01. Oh, Why
02. Rock'n Roll
03. Round Wound
04. Love Love
05. Mad Man Across The Water
06. Easy Romance
07. Morning Sun
08. Wondering
09. Far East Network
10. Really I Wanna Know
11. Rock'n Roll (reprise)