2007年06月05日

吉田美奈子「FLAPPER」

吉田美奈子「FLAPPER」この所、何となく吉田美奈子ばかり聴いている。
ちょっと前までは、アルファ時代のファンク路線が好きだったが、久しぶりに「FLAPPER」を聞き直してみたら、こんなにも良いアルバムだったのかと、評価を改めた次第。
そんなワケで、今回は吉田美奈子が76年に発表した「FLAPPER」を取り上げてみる。

このアルバムは、なんと言っても参加しているミュージシャンが豪華。
細野晴臣(B)、鈴木茂(G)、林立夫(Dr)、松任谷正隆(Key)と言ったティンパン勢をはじめ、佐藤博(Key)、矢野誠(Key)、矢野顕子(key)、浜口茂外也(Per)、山下達郎(cho)、大貫妙子(cho)らのティンパン周辺のミュージシャン、そして村上秀一(Dr)、高水健司(B)、松木恒秀(G)といった腕利きのスタジオミュージシャンたちも参加している。
そう言ったミュージシャンだけでなく、作曲家陣もバラエティに富んでいて、吉田美奈子のオリジナル曲のほか、山下達郎2曲、細野晴臣1曲、大瀧詠一1曲、矢野顕子1曲、佐藤博2曲と言った具合。

アルバムのオープニングを飾る01「愛は彼方」。
吉田美奈子のソウルフルなボーカルが印象に残る1曲で、バッキングの中心はティンパンアレーの面々。
AOR風な側面、ソウル風な側面、ポップス的な側面、ファンク的な側面が一つの世界観の中に凝縮されているような(?)曲で、このアルバムのオープニングを飾るのにふさわしいナンバーと言えるかも。
とにかくカッコイイとしか言いようがない。

矢野顕子が作曲した02「かたおもい」は、いかにも矢野顕子らしいメロディーラインを持った曲。
細野&林のティンパン・リズム隊が、その独特な世界を更に深いものにしている。

佐藤博の作曲による03「朝は君に」は、このアルバムの中では一番AOR風な音作り(当時AORと言う表現があったか知らないが…)。
メロディーはもちろんのこと、佐藤博のエレピのフレーズや松木恒秀のギターのカッティングが、AOR的なメロウな世界観を作り上げている1曲。
自分はこのアルバムの中で一番好きな曲かもしれない。

04「ケッペキにいさん」は、その後のファンク路線を感じさせる1曲。
ドラム&ベースだけでなく、ピアノとクラビネットまでもリズム楽器と化しているような雰囲気。
改めて聴いてみると、このリズムはもの凄いな。

細野晴臣作曲の05「ラムはお好き?」は、初期のユーミンにも通じる、セカンドライン的なサウンド作り。
バッキングはもちろんティンパンアレー勢で、少々ユーモラスな雰囲気も、ティンパンならではと言えるかもしれない。

日本語曲で最もカバー曲が多いとも言われる06「夢で逢えたら」。
元々大瀧詠一がアン・ルイス用に書いた曲だったのがボツになり、吉田美奈子に流用したと言う、曰く付きの曲。
アレンジの多羅尾伴内は、言うまでもなく大瀧本人。
(様々なカバーに関しては、夢で逢えたら Perfect Collectionと言う詳しく解説したページがありますので、そちらを参照して下さい)

07「チョッカイ」は、久しぶりに聴いて驚いた1曲。
かなりスライ&ザ・ファミリーストーンしているのが無茶苦茶カッコイイ。
後のニューヨーク的なファンクではなく、もっと泥臭い感じのファンク。
高水健司のブイブイとうなるベースと、重たいリズムを叩くポンタのドラムがたまらない。

08「忘れかけていた季節へ」は、吉田美奈子自身が弾くピアノに、ストリングスが重なっていくバラード曲。
このアルバムの中では、デビューアルバムの「扉の冬」の路線に一番近いのは、この曲かな。

作者である山下達郎自身も後にセルフカバーする09「LAST STEP」。
ティンパン勢がバックに参加していることもあってか、少々セカンドライン寄りのアレンジ。
この曲も05「ラムはお好き?」のように初期のユーミンっぽい雰囲気も感じる。

アルバムのラストを締めくくるのは、名バラード10「永遠に」。
この曲も作者である山下達郎自身がセルフカバーしている。

色んな要素が混在していて、アルバムとして聴くと少々散漫な気はするけれども、一つ一つの曲はそれぞれに魅力的。
ネット上の評判を見てみても、「ティンパンアレーが参加したポップアルバム」的評価と、「ジャパニーズ・ファンクの源流」的評価と二通りあるようだが、そう言う二つの路線が一つのアルバムにまとめられている点が、このアルバムの個性的な部分であるようにも思う。


【収録曲】
01. 愛は彼方
02. かたおもい
03. 朝は君に
04. ケッペキにいさん
05. ラムはお好き?
06. 夢で逢えたら
07. チョッカイ
08. 忘れかけてた季節へ
09. LAST STEP
10. 永遠に
posted by あれ at 01:32| Comment(6) | TrackBack(2) | ジャパニーズポップ 70's | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは。
驚きました。同じ日に同じアルバムを紹介していたなんて・・・(笑)
私もRCA時代では1番好きなアルバムです。
Posted by kaz-shin at 2007年06月05日 23:34
偶然とは言え面白いこともあるものですねぇ。
最近中古でアルファ時代の紙ジャケを手に入れたんで、色々と吉田美奈子を聴いていたので、このエントリーを書いてみた次第です
Posted by あれ at 2007年06月06日 00:31
美奈子歴30年弱のオヤジです。Flapperは
企画物とはいえ、当時の日本のミュージシャンのあふれる才能の玉手箱の様で、アナログ盤からCDに買い直しして聴いてます。
「愛は彼方」「忘れかけてた季節へ」は現在までの数ある美奈子の曲でも、自分の中では上位ランクにいます。
Posted by けんきち at 2007年09月16日 11:21
ほとんど休眠中のブログですが、コメントありがとうございます。
自分は美奈子さん歴5は年程度の若輩者です……。
「愛は彼方」は、本当にカッコイイですよねぇ。時々聞き返しては、いつもカッコ良さに打ちのめされます。
Posted by あれ at 2007年09月17日 23:56
僕のファンのタイナカ彩智と言うアーティストさんが好きなアルバムって言うのを聞き買ってみました!アルバムが届くのが楽しみです。

Posted by ごきげんよ〜 at 2011年11月24日 05:28
あら、昨日タイナカ彩智10周年ワンマンがありまして大好きだと言う「ラムはお好き?」をカバーしてたので検索してこのブログにたどり着いたら、かなり前から好きなアルバムだった知れてびっくりです。わかりやすい解説でさらに興味引きましたので買ってみよう思います。
Posted by ぼーど at 2016年02月14日 10:25
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