2006年10月13日

小坂忠「モーニング」

小坂忠「モーニング」小坂忠と言うと「ほうろう」という名盤ばかりが語られる傾向が強いけれども、それ以外にもなかなか良いアルバムを残している。
77年に発表した、「モーニング」と言うアルバムも、そういう1枚。

この「モーニング」は、小坂のペンによる曲は2曲で、坂本九のカバーの他、細野晴臣、佐藤博、吉川忠英、南佳孝と言ったティンパンアレーファミリーの面々が曲を提供している。
参加ミュージシャンも、細野晴臣(B)、鈴木茂(G)、林立夫(Dr)を始めとして、佐藤博(Key)、駒沢裕城(Pedal Steel)、田中章弘(B)、坂本龍一(Key)、ブレッド&バター(Cho)など豪華な面々がバックを支える。

このアルバムで個人的に一番気に入っているナンバーは、佐藤博の作・編曲による03「フライングソーサー」。
マイケル・フランクスやケニー・ランキンといったミュージシャンに通じるようなメロウな曲で、ティンパン勢の安定したバッキングに、佐藤奈々子と岩沢幸矢&二弓のコーラスが彩りを添えている。
個人的な印象では、こういうメロウな曲でこそ、小坂忠のシンガーの魅力が存分に発揮されるのかな、と思っている。
自分が「ほうろう」よりも「気まぐれ天使」を聞く機会が多いのは、そういう想いの現れなのかもしれない。

メロウな曲と言う点で言えば、「早起きの青い街」も見逃せない。
南佳孝のペンによる1曲で、いかにも南佳孝というようなメロディーラインと、4リズムを中心にしたシンプルなバッキングが、小坂のボーカルとメロディーの良さを浮き立たせている。
タイムファイブによるコーラスも、メロウな雰囲気を作るのに一役買っている1曲。

01「ボンボヤージ波止場」は、「ほうろう」に収録されたのセルフリメイク。
ビブラフォンをフィーチャーするなどして、オリジナルよりモダンな雰囲気に変貌している。
02「港に架かる橋」は、当時の細野晴臣のトロピカル路線の影響を受けたようなレゲエのリズムのポップナンバー。雰囲気的には久保田麻琴と夕焼け楽団に近い感じ。
鈴木茂のスライドギターが、バッキングを渋く彩る。
細野作曲の04「アイスクリームショップガール」は、リラックスした雰囲気のポップナンバー。
05「朝は好きかい」は、曲は小坂自身で、編曲が細野晴臣。
楽曲はポップな仕上がりにも関わらず、どことなくヒネたリズムを持ち込んでいる当たりが、いかにも当時の細野晴臣というような雰囲気を感じる。
吉川忠英作曲の07「シルクランデブー」は、ウクレレやマンドリンなどがフィーチャーされた1曲。
小坂のボーカルも、まるでハワイアンでも歌っているかのような唄い方で、なかなか面白い。
08「フォーカスラブ」は、キャッチーなメロディーが魅力的なナンバー。
「ポップス」と言う事を考えると、このアルバムで一番のナンバーではないかな?
09「一人じゃないよ」は、小坂自身の多重コーラスによるアカペラナンバー。
コーラスとハンドクラップだけというシンプルなバッキングから、その後はゴスペルに活動の場を移す萌芽を感じるのは自分だけではあるまい。
10「上を向いて歩こう」は、言わずと知れた坂本九の代表作。
編曲が細野晴臣ということで、少しトロピカル路線の混じったアレンジではあるけれども、小坂忠と言うシンガーの声に、非常にマッチしたメロディーラインにハッとする。

この頃の小坂忠は、個人事務所の設立とともにホームスタジオを作り、この「モーニング」というアルバムも、そのホームスタジオでレコーディングされた、ということ。
アルバム全体に流れるアットホームな雰囲気は、そういったレコーディングの空気が、そのまま作品に反映されたものと考えるのも自然かもしれない。

そして小坂忠は、この作品を発表した後、ゴスペルシンガーとして活動の場を移し、ポップフィールドでの活動は2001年の「People」を待つ事になる。
そう考えると、ある意味で「モーニング」と言う作品は、ポップシンガーとしての小坂忠の総決算と言うアルバムだったのかもしれない。


【収録曲】
01. ボンボヤージ波止場
02. 港に架かる橋
03. フライングソーサー
04. アイスクリームショップガール
05. 朝は好きかい
06. 早起きの青い街
07. シルクランデブー
08. フォーカスラブ
09. 一人じゃないよ
10. 上を向いて歩こう
posted by あれ at 23:35| Comment(2) | TrackBack(0) | ジャパニーズポップ 70's | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
同感、「HOSONO HOUSE]などと並ぶアルバムだと思います。インパクトの強い曲は少ないかもしれませんが、ほっとできるアルバムですよね。私は大好きです。
Posted by kozikoziX at 2007年09月16日 08:47
ほとんど休眠中のブログですが、コメントありがとうございます。
確かにインパクトのある曲は少ないような気はしますが、「噛めば噛むほど味が出る」アルバムであるような気がします。
小坂忠さんと言うと「ほうろう」ばかりが注目されるので、他のアルバムにも目を向けて欲しいなぁ、とも思いますね。
Posted by あれ at 2007年09月17日 23:50
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