2006年05月25日

小坂忠「ほうろう」

小坂忠「ほうろう」ジャパニーズ・フリーソウルのマスターピース、小坂忠の「ほうろう」。
今さら、自分のような人間がわざわざ言う必要などないけど、このアルバムは名盤中の名盤。
いわゆる「シティポップ」の概念から、少しズレるかもしれないけれども、シティポップが生まれる土壌には、こういうアルバムもあった、と言う事でご紹介。

初期のソロ作では、牧歌的な匂いのするフォーク調のナンバーを唄っていた小坂忠が、ティンパンアレーを率いて突如としてR&B色の強いアルバムを発表。
このアルバム、やはり参加メンバーがスゴイ。
プロデュースが細野晴臣と小坂忠の共同で行われ、細野晴臣(B)、林立夫(Dr)、鈴木茂(G)、松任谷正隆(Key)と言うティンパンアレー陣営が演奏の核となり、コーラスには、山下達郎、吉田美奈子、大貫妙子、ホーンとストリングスのアレンジは矢野誠と、ティンパン・ファミリーが一堂に会している。

カッコ良さ、という点で言えば05「ゆうがたラブ」のグルーヴ感は、他に変えがたいものがある。
細野&林のファンキーなリズム隊に、鈴木のギターと松任谷のクラビネットが絡み合い、吉田美奈子のコーラスが、更にソウルフルな面を盛り上げる。
去年の夏、埼玉県の狭山で開かれた HYDE PARK MUSIC FESTIVAL でも、この曲は披露されたけれど、その時の"2005年バージョン"も、かなりカッコ良かった。
ジャパニーズ・ファンクの傑作の一つ。

ジャパニーズ・レアグルーヴと言った観点で言えば、小沢健二もカバーした06「しらけちまうぜ」も外せない。
ポップなメロディーながらも、70年代のソウル風なアレンジがキマっている。
自分としては、マーヴィン・ゲイやスティーヴィー・ワンダーの諸作と比べても、何ら遜色のない出来だと思っている。

このアルバムは、書き下ろしのナンバーの他に、カバーやリメイクも入っているのも一つの特徴。

04「氷雨月のスケッチ」09「ふうらい坊」の2曲は、はっぴいえんどのカバー。
どちらも、はっぴいえんどのオリジナルを、ソウルフルに翻案してカバーしたような雰囲気。
そして、そのようなソウルな雰囲気が、小坂のボーカルにハマっている名カバー。
02「機関車」は、1st「ありがとう」の中で唄われた曲のリメイクバージョン。
1stのカントリー風のアレンジよりも、ソウルフルに変身した「ほうろう」バージョンの方が、メロディーの良さや、歌詞の深みなどをより味わえるようになったと思う。
07「流星都市」は、細野、小坂らが組んでいたバンド、エイプリルフールの「タンジール」のリメイク作。
エイプリルフールにあった「ニューロック」とした雰囲気を排除して、かなりソウルフルなアレンジに生まれ変わっている(当然自分は「ほうろう」のバージョンの方が好き)。

正直な所、自分は、最初に聞いた時はこのアルバムの良さが分からなかった。
「しらけちまうぜ」のポップな雰囲気は好きだったけれど、他の曲の良さが分かるまで、かなりの時間がかかったような……。
でも、その時間がかかった分だけ、濃い時間を過ごしたのか、今では愛聴盤の一つ。
やはり、簡単に分かってしまうようなものは、飽きるのも早いってことなのかもしれない。

自分が、ティンパンアレーが関わった様々な音源を聞くようになったのは、もしかしたらこのアルバムがきっかけだったのかもしれないな、と今になるとそう思えてくる。


【収録曲】
01. ほうろう
02. 機関車
03. ボン・ボヤージ波止場
04. 氷雨月のスケッチ
05. ゆうがたラブ
06. しらけちまうぜ
07. 流星都市
08. つるべ糸
09. ふうらい坊
posted by あれ at 00:26| Comment(2) | TrackBack(0) | ジャパニーズポップ 70's | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「しらけちまうぜ」は、マッチがカバーしてますがやはり声が似てるからですかね。
このアルバムでは「流星都市」がメロウで好きです。
Posted by LOVE☆YUYA at 2006年07月02日 18:08
マッチのカバーは知りませんでした。ヨッちゃんのグッバイに関しては大ファンなんですけどね。
Posted by Alee at 2006年07月02日 21:48
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