2006年10月24日

渡辺満里奈「Ring-a-Bell」

渡辺満里奈「Ring-a-Bell」この10月に歌手デビュー20周年を迎えた渡辺満里奈。
そんな20周年を記念して、今年の12月にはCD11枚+DVD4枚という全15枚と言うボリュームのボックスセットがリリースされる
15年来のファンである自分のような人間は、このボックスをきっかけに「歌手・渡辺満里奈」の再評価がされたらいいなぁと思う今日この頃。

そんなワケで、今回は渡辺満里奈が96年に発表した6曲入りのミニアルバム「Ring-a-Bell」をご紹介。
ご存知の方も多いと思いますが、このアルバムのプロデュースは、かの大瀧詠一。
曲ごとに参加ミュージシャンはクレジットされていないものの、プロデューサー・大瀧詠一の人脈なのか、かなり豪華な布陣。
主な所をあげると、鈴木茂(G)、村松邦男(G)、吉川忠英(A.G)、徳武弘文(A.G)、井上鑑(Key)、長岡道夫(B)、青山純(Dr)、浜口茂外也(Per)、杉真理(Cho)、ウルフルズ(Cho)などなど。
エンジニアも吉田保だったりして「ナイアガラ・サウンド」を支える人たちが一堂に会した雰囲気も感じる1枚。
そんなことからも、個人的には、シリア・ポールの「夢で逢えたら」の90年代版だと思って聞いてる時期もありました。

そんなアルバムの自分的なハイライトは、佐野元春が曲を提供した03「ダンスが終わる前に」。
この曲は、リリース当時から、本当に好きで好きでたまらない曲だった。
佐野元春の優しげなメロディーが魅力的なのはもちろん、そんなメロディーを包み込む井上鑑のアレンジによるストリングスが、まさに「ナイアガラ・サウンド」の再来。
佐野元春による歌詞も、胸がキューンとくるようなロマンティシズムにあふれた素敵な歌詞で、特に「くちづけはいらない 変わらない約束だけでいいの」と言うフレーズには、どれだけ胸をときめかせていた事か!
ちなみに、佐野自身もシングル「ヤァ!ソウルボーイ」のカップリングとしてカバーしていて、アーシーなアメリカン・ロックな手触りで、こちらはこちらで違った味がある。

01「金曜日のウソつき」は、満里奈のラップというか、おしゃべりを曲の中心もってきた、パーティーソング。
音楽評論家の萩原健太の曲&アレンジで、ウルフルズの「お友達参加」コーラスもパーティー風な雰囲気を盛り上げてくれる。
02「ばっちりキスしましょ」は、オールディーズの「Tonight Belong To Me」の日本語カバー。
ちなみに「Tonight Belong To Me」は、シリア・ポールの「夢で逢えたら」でもカバーされてます。ここら辺も、自分が「夢で逢えたら in 90's」と思った原因の一つだったりするのかもしれません。
04「約束の場所まで」は、しっとりとして優しげなメロディーラインを持った曲で、アレンジには杉真理が参加(嶋田陽一との共同クレジット)。
平井夏美の書いた優しげなメロディーを、しっとりと歌い上げる満里奈も、また魅力的。
05「あなたから遠くへ」は、かつて細野晴臣がプロデュースを手がけた、金延幸子のカバー曲。
オリジナルはフォーク色が強い雰囲気だったのを、ボサノヴァ風のギターと、井上鑑アレンジによるストリングスを全面的にフィーチャーして、新たな曲に生まれ変わっている。
06「うれしい予感」は、アニメ「ちびまる子ちゃん」のオープニングでも使われていた曲。
いかにも「ナイアガラ・サウンド」な雰囲気の曲で、満里奈ファン&大瀧ファンでもあった自分としては、初めて聞いた時には「涙が止まらない」と言う表現がピッタリくるような曲だった。

結局6曲入りのミニアルバムとして発表されたのだけれど、このアルバムには数々のお蔵入りのトラックがあると言う噂が……。
今回のボックスにも、そういった曲の収録は伝えられていないけれども、その曲たちは、ソニーの倉庫に眠っていたりするのだろうか……?
今年は「Ring-a-Bell」のリリースから丁度10年だったワケだし、「Ring-A-Bell 10th Anniversary Edition」とか言って、今回のボックスに未発表曲満載のボーナスディスクをつけてくれてもよかったんじゃない……?


【収録曲】
01. 金曜日のウソつき
02. ばっちりキスしましょ
03. ダンスが終る前に
04. 約束の場所まで
05. あなたから遠くへ
06. うれしい予感(アルバム・バージョン)
posted by あれ at 02:32| Comment(0) | TrackBack(1) | ジャパニーズポップ 90's | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月22日

野田幹子「CUTE」

野田幹子「CUTE」今回紹介するのは、野田幹子の92年リリースの9枚目のアルバム「CUTE」。
自分は、この人の音を同時代的に聞いていた記憶は全くないのだけれども、2〜3年前にビーチボーイズのカバーが収録されている「Winter Couples」と言うアルバムを聞いてから、何となく好きなシンガーの一人。

この野田幹子、初期は岡田徹や渚十吾、鈴木智文らがプロデュースしていて、ムーンライダース系の流れでの評価も高いらしい。
このアルバムではライダース人脈の参加はなく、鳥山雄司や佐藤博、崩場将夫(岩崎元是&WINDYのサポートをやっていた人らしい)らをアレンジャーに迎え、なかなかイイ感じのポップアルバムを展開している。
バックを固めるのも、鳥山雄司(G)、佐藤博(Key)はもちろん、今剛(G)、青山純(Dr)、木戸やすひろ(Cho)、ラジ(Cho)、坪倉唯子(Cho)ら、シティポップ系ではお馴染みのミュージシャンたちが参加。

自分が特に気に入った曲は、06「オートバイと風とあなたと」。
初期の角松敏生のリゾート風な雰囲気を女性向きにシフトさせたような(?)爽快感あふれるメロディーとアレンジが心地よい1曲。
さすがは、岩崎元是&WINDYのサポート・キーボーディストだった崩場将夫、といった感じか。

鳥山雄司がアレンジを担当した01「駆けてみよう」は、アルバムのオープニングにふさわしい爽やかに弾けるポップナンバー。
ブラスのアレンジにスウィングアウトシスター的な雰囲気も感じるが、そういうサウンドと野田幹子のボーカルとの相性がマッチしていて、かなりイイ感じ。
02「彼のハートは夏でした」は、先行シングルとなった曲。
01「駆けてみよう」と同系統のポップソングで、シングルになったのもうなづける。アレンジは佐藤博。
続く03「この駅から」は、mayumiの作曲によるAOR風のナンバー。
アレンジは佐藤博で、彼の諸作に通じる雰囲気を持った曲。佐藤自身によるエレピのソロが、なかなかイイ。
04「最後の恋になるかもしれない」は、作曲:崩場将夫、編曲:鳥山雄司のシャッフルビートのポップナンバー。
05「バスルームでランチ」は、佐藤博による作・編曲。
いかにも佐藤博なメロディーとアレンジは、なんとなく佐藤本人が唄った方がハマるのではないかな、とも思えるブラコン(死語だな……)ノリな1曲。
07「賛美歌に包まれて」は、タイトルにも象徴されるような厳かな雰囲気のバラード曲。
08「Sugar Sugar」は、鳥山雄司が曲とアレンジを担当。
ポップな楽曲ながら、鳥山によるギターのカッティングや坪倉唯子やラジのファンキーなコーラスがカッコイイ。
09「My Brand-new Days」は、落ち着いたリゾートサウンド風の曲。
mayumi作曲のメロディーに、崩場将夫がほんのりとラテンの風味を効かせたアレンジで味付けしている。
10「Afternoon Tea」は、佐藤博のアレンジによる落ち着いた雰囲気のポップナンバー。
12「Sunsetはまあるい気持ち」は、佐藤博のアレンジに今剛のギター・カッティングが映える1曲。

アルバム通して聞いてみると、ポップな楽曲あり、落ち着いた雰囲気の曲あり、リゾート風からブラコン風まで、バラエティに富んだ曲調の曲が並んでいるけれども、1枚のアルバムとしてはきちんとまとまっているような雰囲気。
どことなく、角松敏生や林哲司のようなサウンド・メイクを感じる曲もあったりして、そこら辺のシティポップ好きの人にも十分に受け入れられる作品なのでは?
いわゆるキラーチューンと呼ばれるような曲は収録されてはいないけれども、アルバムを通して聞くと、平均点はかなり高いアルバムなのかな、と思える1枚。


【収録曲】
01. 駆けてみよう
02. 彼のハートは夏でした
03. この駅から
04. 最後の恋になるかもしれない
05. バスルームでランチ
06. オートバイと風とあなたと
07. 賛美歌に包まれて
08. Sugar Sugar
09. My Brand-new Days
10. Afternoon Tea
11. ハンパな気持ちで恋しちゃいけない
12. Sunsetはまあるい気持ち
posted by あれ at 01:05| Comment(2) | TrackBack(0) | ジャパニーズポップ 90's | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月16日

永作博美「Here and Now」

永作博美「Here and Now」以前、美勇伝のシングルを取り上げたけれども、アイドルといえどもジャパニーズ・ポップスのファンとしての自分の心をとらえて離さない曲と言うのは、かなりある。
この永作博美の2ndソロアルバム「Here And Now」も、そんな曲が収録されている1枚。

永作と言うと、今ではすっかり女優さんになってしまって、その歌声を聴く事はなくなってしまったけれども、個人的には、結構好きな女性シンガーの一人だったりする。
このアルバムも、現在は東京事変のベーシストとして知られる、亀田誠治の手堅いサウンド・プロデュースの元、なかなかのポップアルバムを展開している。

中でも、このアルバムで自分的にキラーチューンだと思えるのは、シンプルなボサノヴァに直球勝負で挑んだ06「恋と微笑みと花」というナンバー。
吉川忠英によるアコースティック・ギターをバックに、優しげでポップなメロディを唄う永作のボーカルが、かなり魅力的。
この曲の作詞・作曲は、以前1st「STYLE」や、ボサノヴァ・ユニット、ケルカンなどを紹介した木村恵子。
木村恵子がケルカンで聞かせていた世界観を、そのまま永作が受け継いだような雰囲気が、非常に心地よい。

他には、打ち込みのリズムとボッサを組み合わせた02「Drivin'」もなかなかのポップチューン。
アコースティックギターのカッティングをバックにした、ポップで爽やかなメロディーの1曲。タイトル通り、まさにドライブでもしながら夏の海辺を疾走すると気持ちよさそう。
ちなみに、この曲のアコースティックギターは、吉川忠英と小倉博和(山弦)という二人の名手によるもの。
久保田洋司が作曲した03「エアメイル」は、ミディアムテンポのしっとりとした曲で、優しげに歌う永作のボーカルが、なかなか心地良い。
その昔、THE東南西北というグループで、メロディーメーカーぶりを発揮していた久保田ならではの曲と言えるかも。
09「天使が胸に降りる時」は、ハープや鐘の音を中心としたアンサンブルが、これから冬に向けての季節にピッタリであるような雰囲気。
L⇔Rの黒沢健一による04「Without You」も収録されているけれど、健一の曲ならば、1stアルバム「N」に収録された「My Home Town」の方が、何倍も好きかな。

いわゆる「J-POP」的な曲も収録されてはいるけれども、このアルバムは06「恋と微笑みと花」に尽きる。
こういうボサノヴァ路線なら、今の永作が唄っても全然違和感ないと思うのだけれど、なにか間違ってアルバムをリリースしたりしないものかな?


【収録曲】
01. Feel Me
02. Drivin'
03. エアメイル
04. Without You
05. 信じさせて下さい
06. 恋と微笑みと花
07. 逢いにきて
08. このままでもう少し
09. 天使が胸に降りる時
posted by あれ at 00:24| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャパニーズポップ 90's | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月13日

小坂忠「モーニング」

小坂忠「モーニング」小坂忠と言うと「ほうろう」という名盤ばかりが語られる傾向が強いけれども、それ以外にもなかなか良いアルバムを残している。
77年に発表した、「モーニング」と言うアルバムも、そういう1枚。

この「モーニング」は、小坂のペンによる曲は2曲で、坂本九のカバーの他、細野晴臣、佐藤博、吉川忠英、南佳孝と言ったティンパンアレーファミリーの面々が曲を提供している。
参加ミュージシャンも、細野晴臣(B)、鈴木茂(G)、林立夫(Dr)を始めとして、佐藤博(Key)、駒沢裕城(Pedal Steel)、田中章弘(B)、坂本龍一(Key)、ブレッド&バター(Cho)など豪華な面々がバックを支える。

このアルバムで個人的に一番気に入っているナンバーは、佐藤博の作・編曲による03「フライングソーサー」。
マイケル・フランクスやケニー・ランキンといったミュージシャンに通じるようなメロウな曲で、ティンパン勢の安定したバッキングに、佐藤奈々子と岩沢幸矢&二弓のコーラスが彩りを添えている。
個人的な印象では、こういうメロウな曲でこそ、小坂忠のシンガーの魅力が存分に発揮されるのかな、と思っている。
自分が「ほうろう」よりも「気まぐれ天使」を聞く機会が多いのは、そういう想いの現れなのかもしれない。

メロウな曲と言う点で言えば、「早起きの青い街」も見逃せない。
南佳孝のペンによる1曲で、いかにも南佳孝というようなメロディーラインと、4リズムを中心にしたシンプルなバッキングが、小坂のボーカルとメロディーの良さを浮き立たせている。
タイムファイブによるコーラスも、メロウな雰囲気を作るのに一役買っている1曲。

01「ボンボヤージ波止場」は、「ほうろう」に収録されたのセルフリメイク。
ビブラフォンをフィーチャーするなどして、オリジナルよりモダンな雰囲気に変貌している。
02「港に架かる橋」は、当時の細野晴臣のトロピカル路線の影響を受けたようなレゲエのリズムのポップナンバー。雰囲気的には久保田麻琴と夕焼け楽団に近い感じ。
鈴木茂のスライドギターが、バッキングを渋く彩る。
細野作曲の04「アイスクリームショップガール」は、リラックスした雰囲気のポップナンバー。
05「朝は好きかい」は、曲は小坂自身で、編曲が細野晴臣。
楽曲はポップな仕上がりにも関わらず、どことなくヒネたリズムを持ち込んでいる当たりが、いかにも当時の細野晴臣というような雰囲気を感じる。
吉川忠英作曲の07「シルクランデブー」は、ウクレレやマンドリンなどがフィーチャーされた1曲。
小坂のボーカルも、まるでハワイアンでも歌っているかのような唄い方で、なかなか面白い。
08「フォーカスラブ」は、キャッチーなメロディーが魅力的なナンバー。
「ポップス」と言う事を考えると、このアルバムで一番のナンバーではないかな?
09「一人じゃないよ」は、小坂自身の多重コーラスによるアカペラナンバー。
コーラスとハンドクラップだけというシンプルなバッキングから、その後はゴスペルに活動の場を移す萌芽を感じるのは自分だけではあるまい。
10「上を向いて歩こう」は、言わずと知れた坂本九の代表作。
編曲が細野晴臣ということで、少しトロピカル路線の混じったアレンジではあるけれども、小坂忠と言うシンガーの声に、非常にマッチしたメロディーラインにハッとする。

この頃の小坂忠は、個人事務所の設立とともにホームスタジオを作り、この「モーニング」というアルバムも、そのホームスタジオでレコーディングされた、ということ。
アルバム全体に流れるアットホームな雰囲気は、そういったレコーディングの空気が、そのまま作品に反映されたものと考えるのも自然かもしれない。

そして小坂忠は、この作品を発表した後、ゴスペルシンガーとして活動の場を移し、ポップフィールドでの活動は2001年の「People」を待つ事になる。
そう考えると、ある意味で「モーニング」と言う作品は、ポップシンガーとしての小坂忠の総決算と言うアルバムだったのかもしれない。


【収録曲】
01. ボンボヤージ波止場
02. 港に架かる橋
03. フライングソーサー
04. アイスクリームショップガール
05. 朝は好きかい
06. 早起きの青い街
07. シルクランデブー
08. フォーカスラブ
09. 一人じゃないよ
10. 上を向いて歩こう
posted by あれ at 23:35| Comment(2) | TrackBack(0) | ジャパニーズポップ 70's | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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