2006年08月16日

ラッツ&スター「SOUL VACATION」

ラッツ&スター「SOUL VACATION」シャネルズからラッツ&スターに改名してからの1作目、1983年発表の「SOUL VACATION」(通算7作目)。
プロデュースは、アマチュア時代から、彼らに対して密かに目をかけていたと言う、大瀧詠一。
そしてジャケットは、言うまでもなくアンディ・ウォーホルの作。個人的には、なかなか好きなジャケであります。

ラッツ&スターらしいソウルフルでポップな曲に溢れたアルバムだけれども、自分的なベストトラックは、08「真夜中のダイアモンド」。
この曲は、井上大輔の作・編曲で、夏の夕暮れに似合いそうな雰囲気のメロウチューン。
彼らの代表作「ランナウェイ」も井上大輔の曲であるように、井上とラッツの相性は、かなり良いのかもしれない。
ナイアガラ・サウンドを意識してなのかどうかは分からないけれど、深めのエコーが涼しげで哀愁のあるメロディーにマッチしている。
そして、鈴木雅之のボーカルは、この手の曲だと映えるのを改めて実感。

大瀧詠一が提供したのは、先行シングルとなった07「Tシャツに口紅」と06「星空のサーカス」の2曲。作詞はどちらも松本隆。
07「Tシャツに口紅」は、「A LONG VACATION」的な落ち着きのあるリゾートサウンドな仕上がり。
井上鑑によるアレンジが、「ロンバケ」風のメロディーを更にもり立てる。
06「星空のサーカス」は、軽やかなポップソング。
ボーカルのアレンジが、いかにも大瀧詠一が好みそうな感じで、所々「ロンバケ」風のメロディーが顔を出す。
アレンジが黒人コーラスグループを意識した雰囲気になっているので、曲としては「ロンバケ」風ではないけれども。

オープニングの01「We are RATS & SATR」は、オーヴァーチュア的な小品。
アカペラの作品で、ドゥーワップグループとしてのラッツを堪能できる。
02「楽しき街角」は、ポップなメロディーに、軽やかなコーラス、明るいアレンジが聞いていて楽しい。
ブルース・ブラザーズのテーマを思い起こさずにいられないイントロは、村松邦男によるアレンジ。
03「今夜はフィジカル」は、井上大輔の作・編曲で、メロディーラインは、ラッツ&スターのヒット曲「め組の人」に通じる雰囲気を感じる。
ちなみに「め組の人」も井上大輔の作曲。
04「裏切りの都会」は、マイナーメロディのロック調の曲。
いかにも80年代中盤的なサウンドで、アレンジは村松邦男。
05「One Dream Night」のメインボーカルは、田代マサシ。
ちょっとボーカルが弱い気はするけれども、AOR風の曲としては、なかなか良いのでは。
09「女って…」は、サム&デイヴやモータウンの諸作品などのソウルミュージックからの影響を強く感じる曲。
10「月にはせる想い (Warping the Moon)」は、チョッパーベースを多用したファンク・ナンバー。だけれども、パンチは少し弱いかも。
11「MISS YOU」は、三連系のソウル・バラード。
こういう曲での鈴木雅之のボーカルは、やっぱり魅力的。
そして、桑野のトランペットソロも、哀愁が溢れていて、なかなか泣ける。

鈴木雅之のソロも、それはそれで好きではあるのだけれど、やっぱり男性コーラスを活かした曲の多いラッツ&スター(シャネルズ)の方が、個人的には好み。
マーチンのソロではあまり聞かれない、明るくて楽しげな雰囲気の曲や、60'sのソウル直系の曲があったりして、楽しめる曲が多いからかな。


【収録曲】
01. We are RATS&STAR
02. 楽しき街角
03. 今夜はフィジカル
04. 裏切りの都会
05. One Dream Night
06. 星空のサーカス
07. Tシャツに口紅
08. 真夜中のダイヤモンド
09. 女って…
10. 月にはせる想い (Warping the Moon)
11. Miss You
posted by あれ at 01:17| Comment(4) | TrackBack(0) | ジャパニーズポップ 80's | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年08月07日

BOX「BOX POPS」

BOX「BOX POPS」.jpg今日の昼過ぎ、NHK-BSで放送されていたビートルズ来日40周年記念番組の再放送を見た。
途中、アマチュアバンドの紹介は中だるみだったけれど、それ以外は、まぁそこそこ面白い番組ではあったかな?

そんな番組を見ながら、フト思い出したのは、ボックスの1stアルバム「BOX POPS」。
ボックスは、松尾清憲、杉真理と言う二人のポップ職人を中心に、田上正和、小室和之の二人を加えて結成されたグループ。
この「BOX POPS」というアルバムは、ビートルマニアの松尾&杉が中心となっているだけあって、これでもか!というくらいにビートルズへのオマージュが詰め込まれた1枚。

そして、松尾&杉と言う日本を代表するポップメイカーの共演だけあって、竹内まりや、鈴木慶一、KAN、財津和夫、伊藤銀次、白井良明らがゲストで参加している。

アルバムのオープニングを飾る01「Temptation Girl」は、「Drive My Car」のようなR&Bに影響を受けたビートルナンバーを下敷きにしたような曲。
「Drive My Car」風ではありながら、決して引用だけに終らず、ボックスのポップスとして表現している点が、非常に好感が持てる。
このアルバムの中で、自分が一番好きなのは、この曲。
02「魅惑の君」は、オードリー・ヘップバーンへのオマージュ捧げた1曲。
間奏の部分では、オードリーの吹き替えを担当した池田昌子さんに、オードリーを夢見るOLのセリフを言ってもらうという凝りよう。
この曲に関しては、ビートルズ云々というより、杉のソロ作という印象の方が強いかな?
03「アルタミラの洞窟」は、中期ビートルズ的なサイケポップなナンバー。
イントロのメロトロンは、誰もが「Strawberry Fields Forever」を思い出すだろう。
04「風のBad Girl」は、「And I Love Her」あたりの、初期のゆったりしたビートルナンバーを思い出す。竹内まりやがコーラスで参加。
05「人生はコーンフレーク」は、中期のポール的な曲かな。ちょっと「Getting Better」風と言えるかも。
06「Train To The Heaven」の歌詞は、ファブ・フォーの4人について唄っているロックンロール・ナンバー。
07「Crazy Afternoon」は、ポールが得意としていたボードビル調の曲。
08「ヒットメーカーの悲劇」は、ビートルズで言えば「I Feel Fine」や「Paperback Writer」的なロックンロールナンバー。
しかしながら、そのリフはバッドフィンガーの「Sometimes」からの引用だった。さすが奥が深い……。
09「Ordinary Friend」は、途中でフランス語が登場したりで、「Michelle」風。
10「What Time?」は、軽快なR&R。伊藤銀次がボーカルで参加し、ギターソロは白井良明。
11「Wendy」は、ストリングスのアレンジが「She's Living Home」風。杉のメロディーメーカーっぷりもよく分かる1曲。
12「"2010"」は、「All You Need Is Love」風のサイケポップ。所々5拍子も取り入れているのも、ニクい演出。
と、簡単に解説してみたが、意外な所で意外な曲のフレーズが引用されていたり、細かく聞けば聞くほど発見がある。

いわゆる元ネタ的な解釈も出来るけれども、それ以上に松尾&杉のポップスに対する造詣の深さと愛情を感じる1枚。
おそらく、ビートルズ的なサウンドを、きちんと自分たちで消化した上で、ボックスの曲として再構築しているからなのかもしれない。
海外の作品で言ったら、トッド・ラングレン率いるユートピアの「Defence The Music」当たりに近い雰囲気と言えるかな?(ラトルズほどのパロディ精神はないように思う)
浅薄にフレーズを「パクる」だけとはレベルが違うと言うのは、このアルバムを聞いた全てのポップスファンは納得してくれることだろう。

松尾&杉のファンのみならず、世のブリティッシュポップのファンにも聞いてもらいたい「ポップスの宝箱」的な1枚。


【収録曲】
01 Temptation Girl
02 魅惑の君
03 アルタミラの洞窟
04 風のBad Girl
05 人生はコーンフレーク
06 Train To The Heaven
07 Crazy Afternoon
08 ヒットメーカーの悲劇
09 Ordinary Friend
10 What Time?
11 Wendy
12 "2010"
posted by あれ at 01:31| Comment(2) | TrackBack(0) | ジャパニーズポップ 80's | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年08月05日

前田憲男とティンパンアレー「Soul Samba : Holiday in Brazil」

前田憲男とティンパンアレー先日8月2日は、「イパネマの娘」の誕生日だったらしいです。
リオデジャネイロで開催されたショーで、初めて「イパネマの娘」が人前で演奏されたのが1962年8月2日だったことから、そう言われるようになったとか。

そんなこともあり、その「イパネマの娘」のカバーが収録されている、前田憲男とティンパンアレーのコラボレート・アルバム「Soul Samba : Holiday in Brazil」をご紹介。
77年の発表で、当時のクロスオーバーブームの空気を伝えてくれる1枚。

全体のアレンジは前田憲男(Key)が担当し、ティンパンアレーからは、細野晴臣(B)、鈴木茂(G)、林立夫(Dr)の3人、そして浜口茂外也(Per)、ペッカー(Per)が参加。
キーボードは前田憲男の担当ということで、松任谷正隆や佐藤博など、ティンパンファミリーのキーボード奏者は参加していない。
ブラジル音楽のインストカバーと言うことで、ともすればイージーリスニングになりかねない所を、前田憲男のアレンジと、腕達者なティンパンの面々のバックによって、限りなくフュージョンな世界に仕上げている所が好感触。

ルイス・ボンファの01「Manha de Carnaval」(黒いオルフェ)は、元曲の悲しげな雰囲気を一蹴して、黒っぽいノリのフュージョンに。
普通にボサノヴァを期待していると、このオープニングから打ち砕かれますね。
バート・バカラックの02「The Look Of Love」は、デオダードのような雰囲気。
A.C.ジョビンの代表作03「Wave」、落ち着いた雰囲気の原曲を軽めのフュージョン風にカバー。自分は、このアルバムの中では一番好きなトラックかも。
同じくA.C.ジョビンの04「Desafinado」は、少々レイドバックした雰囲気に。
ジョルジ・ベンの05「Constant Rain」(原題:Chove, Chuva)は、途中で入る口笛がイカしてる。
またもA.C.ジョビンの06「One Note Samba」、前田憲男が、エレピソロとオルガンソロとで、一人バトルを繰り広げているのがカッコイイ!
マルコス・ヴァーリの07「Summer Samba」は、一番ラテンのテイストが強いかな?
ちょっと上げ気味のテンポが、なかなかカッコイイ。
A.C.ジョビンの、と言うよりボサノヴァの代表曲08「The Girl From Ipanema」。
ホーンセクションを用いているものの、意外とオーソドックスな仕上がり。
09「Reza (laia ladia)」は、アドリブ炸裂しまくりの6分半、と言う感じの曲。
一応、エドゥ・ロボのオリジナルにあったリフは残ってはいるものの、前田憲男と鈴木茂のソロが交互に交わり合うような構成。この辺りにも、フュージョンのテイスト満載、って所か。

このアルバム、ティンパン勢のバッキングもさることながら、エレピ、シンセ、オルガンを巧みに使い分ける前田憲男のアレンジのセンスに尽きる。
そんな点からか、ティンパンのファンには、あまり評判のよろしくない1枚のようだけれど、心地良いフュージョンアルバムではあります。

それにしても、初めて聞いた頃は、ティンパンアレーが、こういうモロにフュージョンなアルバムを残していたことに驚きだったな。


【収録曲】

01. Manha de carnaval(黒いオルフェ)
02. Look of love
03. Wave
04. Desafinado
05. Constant rain
06. One note samba
07. Summer samba
08. Girl from Ipanema(イパネマの娘)
09. Reza(laia ladida)(祈り)
posted by あれ at 23:55| Comment(2) | TrackBack(0) | ジャパニーズポップ 70's | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年08月02日

西城秀樹「ファーストフライト」

西城秀樹「ファーストフライト」.jpg西城秀樹が79年に発表したアルバム「ファーストフライト」。

なんだか、スゴイジャケットではあるけれど、このアルバムで注目すべきはバックのメンバー。
ボーカルの西城秀樹以外のパーソネルを見ると、芳野藤丸(G)、大谷和夫(Key & Arrangement)、長岡道夫(B)、山木秀夫(Dr)、中島御(Per)と言った布陣。
気づく人は気づくだろうが、これはケーシー・ランキン抜きのSHOGUN。
当時の西城秀樹は、藤丸バンドがライヴのバックもやっていたらしく、その延長線での起用となったようだ。

そして、曲のクレジットを見ると、西城秀樹6曲、芳野藤丸5曲と言う割合で、全ての曲のアレンジは大谷和夫が担当。
意外とソングライターとしての西城秀樹もイイ感じ。

アルバムは、メロウなフィーリング溢れる01「Sweet Half Moon」で幕を開ける。
ウェストコースト風の爽やかなサウンドが心地いい。

続く02「その愛は」は、一転してファンキーなナンバー。
大野雄二のユー&エクスプロージョンバンドでも活躍する、長岡道夫のファンキーなベースラインが16ビートにのって疾走する。
そんなせいもあってか、どことなく大野雄二のナンバーを彷彿とさせるアレンジ。
そして、この曲のホーンセクションは、スペクトラムのホーン隊だということだが、そんな事も考えると、この曲のファンキーさもうなづける。
自分的には、このアルバムでのベストトラック。

03「おぼえているかい」は、ラテンのリズムを取り入れたメロウな雰囲気の曲。
04「ドライ・マティーニ」は、ウェストコースト風の爽やかなナンバー。
05「Je T'aime」はバラード曲。後にワム!の「Careless Whisper」をカバーする秀樹だけれど、その片鱗は既にこの頃から……。
06「Love Is Beautiful」は、芳野藤丸のギターカッティングが心地良いメロウ・グルーヴ。この曲が一番シティポップと呼ぶにふさわしい出来の曲かな。
07「海辺のまぼろし」は、ファンキーな曲。チョッパーベースが、意外とイイ味を醸し出す。
08「愛のバラード」は、まさにタイトル通りのバラード曲。秀樹、熱唱。
09「東京スカイ・ラウンジ」は、ラテンっぽい要素を絡めたファンキーなナンバー。
10「バリエーション」は、ちょっとルーズなノリのファンキーな1曲。
ファンキーなSHOGUNという雰囲気がする曲で、これも長岡道夫の弾くベースがカッコイイ。
11「If You Love Me」は、イントロは壮大なバラード風だけれど、それが終るとファンキーでポップな曲が展開される曲。
爽やかなメロディーに、どことなくファンキーなリズム隊が、なかなかカッコイイ。
何気に、スペクトラム・ホーンズが活躍の1曲。

ケーシー・ランキン抜きのSHOGUNとは書いたものの、やはりそのボーカル・スタイルの違いからか、SHOGUNの方がクールな響きがするかな。
でも、秀樹のボーカルであっても、ファンキーだったり、メロウだったり、そのサウンドには聞き所はたくさんあるように思う。

「歌謡曲」と言うフィルターを外すと、色々見えてくることが多い、と言う好例かもしれない1枚。


【収録曲】
01. Sweet Half Moon
02. その愛は
03. おぼえているかい
04. ドライ・マティーニ
05. Je T'aime
06. Love Is Beautiful
07. 海辺のまぼろし
08. 愛のバラード
09. 東京スカイ・ラウンジ
10. バリエーション
11. If You Love Me
posted by あれ at 00:54| Comment(2) | TrackBack(0) | ジャパニーズポップ 70's | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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