2006年07月24日

林哲司「NINE STORIES」

林哲司「NINE STORIES」.jpg86年発表の林哲司のソロ4枚目のアルバム。
この時期の林哲司と言えば、杉山清貴&オメガトライブや菊池桃子などを手がけ、ソングライター、アレンジャーとしてノリにノっていた時期。
そんな充実っぷりが、このアルバムにも反映されているのか、非常に聞き応えのある1枚。
林哲司と康珍化との共同プロデュースで、全ての曲の作曲・アレンジは、林哲司自らが手がけている。

このアルバムのハイライトは、オープニングを飾る01「悲しみがいっぱい」だろう。
上田正樹「悲しい色やね」杏里「悲しみが止まらない」に続く、林哲司の「悲しみ三部作」の最終章。
いかにも当時の林哲司らしいサウンド・プロダクションで、切なくもメロウなメロディーが、ファンにはたまらないであろう1曲。
よく林哲司のボーカルは、線が細いと評されるけれども、逆にそう言ったボーカルが、この曲の切なさを更に引き立てているように感じるのだけれど、どうだろう?

その他の曲も、佳曲ぞろい。
02「左胸の星座」は、オメガトライブ風のアーバン・ビートな1曲。
シンセベースの音色が時代を感じさせるけれど、それもまた一つの味。
03「寒い国から来たサーファー」は、ゆったりしたビートの西海岸風のAORナンバー。
自分としては、林哲司のメロディーメーカーぶりは、こういうタイプのメロウなナンバーで発揮されると思っている。
04「TOUCH ME」は、エレピの音色が印象的なバラード・ナンバーで、和製デヴィッド・フォスターの面目躍如と言う雰囲気。
05「僕もその映画を見たよ」は、軽快なシャッフルビートの曲で、林のポップサイドが顕著に現れた曲。
06「3人のテーブル」は、メロウなAORナンバー。04「TOUCH ME」とは、また違った雰囲気で、メロディーメーカー林哲司が堪能できる。
07「愁いを含んでほのかに甘く」は、このアルバムの中では、歌謡曲的なテイストが一番強い曲かな。
08「雨のハイウェイ」も、02「左胸の星座」と同じく、オメガトライブ風のテイストが漂うマイナーチューン。こういう曲だと、ボーカルの細さは弱点かもしれないな…。
09「君の理由」は、自分の印象としては、少々中途半端な感じがする1曲。アルバムのラストにしては、ちょっと地味過ぎる気もするが…。

80年代の中期にリリースされているだけあって、オメガトライブや菊池桃子などに代表される「林哲司サウンド」を十二分に堪能できるアルバム。
自分の印象としては、突出した名盤と言う雰囲気ではないけれど、飽きのこないアルバムかな、と言う感じ。
それも、01「悲しみがいっぱい」と言う名曲が入っているからかもしれませんが。

今では、ボーナストラックが加わった15曲入りのCDが再発されてるようなので、そちらをチェックしてみてはいかがでしょう?


【収録曲】
01. 悲しみがいっぱい
02. 左胸の星座
03. 寒い国から来たサーファー
04. TOUCH ME
05. 僕もその映画を見たよ
06. 3人のテーブル
07. 愁いを含んでほのかに甘く
08. 雨のハイウェイ
09. 君の理由
posted by あれ at 00:11| Comment(5) | TrackBack(0) | ジャパニーズポップ 80's | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月22日

美勇伝「銀杏〜秋の空と私の心〜」

恋のヌケガラ.jpg意外な所で、意外なメロウ・チューンに出くわすと言うのは、多々ある事。
それが、表向きはアイドルの曲だったとしても、良い曲は良いと素直に認めるべき、と言うのが昔からの自分の考えの一つ。
そんな考えの中で出会った曲の一つが、今回紹介する美勇伝の曲。

このシングルの聞き所は、タイトル曲ではなく、そのカップリングとして収められた02「銀杏〜秋の空と私の心〜」の方。
これが、なかなかのメロウ・チューンで、イントロのエレピのフレーズから、グッと曲の世界に引き込まれるシティポップ風のナンバー。
ポップなメロディーながらも、どこ無く漂うソウル・フレーバーが、たまらない雰囲気持った1曲。
マーヴィン・ゲイの「What's Going On」を引き合いにしたレビューも見かけたことがあるけれど、何となくそれも納得できる気もする。

バックのミュージシャンには、元オリジナル・ラブの小松秀行(B)が参加していたり、そのオリジナル・ラブなど、様々なレコーディングセッションでドラムを叩いている佐野康夫(Dr)が参加していたりと、意外と通好みな選択。
ギターを担当するのは、アレンジも手がけている鈴木俊介で、控え目ながらも音の隙き間を埋めるギターのカッティングが、なかなかイイ。
そして、元・太陽とシスコムーンの稲葉貴子のコーラスも、メロウな雰囲気を醸し出す隠し味として一役買っている。

彼女たちの4thシングル「クレナイの季節」のカップリング「内心キャーキャーだわ!」も、ハモンド・オルガンのイントロが印象的なシティポップ・ナンバーだったり、ハロー!プロジェクトの曲は、意外な所で、意外な雰囲気の曲に出くわしたりする。
そんな風に、時々キラーチューンを忍び込ませるのだから、ハロー!プロジェクトの曲って侮れない。


【収録曲】
01. 恋のヌケガラ
02. 銀杏〜秋の空と私の心
03. 恋のヌケガラ(Instrumental)
posted by あれ at 14:57| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャパニーズポップ 00〜 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月14日

ママレイド・ラグ「MAMALAID RAG」

MAMALAID RAG「MAMALAID RAG」2002年に発表された、ママレイド・ラグの1stアルバム「MAMALAID RAG」。
デビューミニアルバム「春雨道中」がリリースされた頃は、はっぴいえんどチルドレン的に語られることも多かった彼ら。
しかし、この1stアルバムは、ソウル・ミュージックや、シンガーソングライター系の音楽からの影響も感じさせる1枚で、はっぴいえんどと言うよりも、どちらかと言えばシュガーベイブの方に近いグループなのかな、と言う印象がある。

全ての曲の作詞作曲は、ボーカルの田中拡邦。
デビュー当初「はっぴいえんど的」と評されたのは、彼のソフトな唄声と、どことなくノスタルジーを感じさせるメロディーが、そう言う評価を引き出したのかな、とも思う。
しかし、この1stを聞けば、田中のソングライターとしての才能は、そこで留まるだけの物ではないのは明らか。

やはり、このアルバムのハイライトは、彼らのデビュー曲となった08「春雨道中」だろう。
ママレイド・ラグ独特の、切なくもノスタルジーを感じるメロディーは、この曲に象徴されていると言ってもいいのでは?
メロディーラインはもちろん、シンプルながらツボを抑えたバッキング、意外と渋いスライド・ギターのギターソロなども聞き所の一つ。
メジャーデビュー前、この曲でオムニバス「喫茶ロックnow」に参加したと言うことも、このバンドのアイデンティティを表すエピソードの一つかな。

そして、多様性を感じる1曲として、あげたいのが06「ワトスン」。
ブラスを導入した、このアルバムの中で一番ファンキーなナンバーで、鈴木茂の「BAND WAGON」を彷彿とさせる音作り(と言うことはリトル・フィート的ということか?)。
ギターの音色も当時の鈴木茂っぽさを感じる曲で、個人的には結構好きな曲。

メロウな雰囲気の曲では、ボサノヴァ風の曲も収録。
まず02「彼女のタペストリー」は、ボサのリズムにヴィブラフォンのソロをフィーチャーした1曲。
鈴木茂の「Lagoon」〜「Caution!」あたりが好きな人は結構気に入るかもしれない。
そして、ボサノヴァ・インストの07「Her Life」。
エレピとギターが主旋律を奏でているのだけれど、そのまま唄モノとして通用しそうなポップなメロディーラインの曲。

ほかにも、08「春雨道中」の流れを汲む ポップソング01「悲しみにさようなら」。シンプルな楽器編成ながら、きちんとポップに聞かせる術を知っているかのようなアレンジ。
03「カフェテラス」は、大瀧詠一の「A LONG VACATION」からの影響を感じさせる(リズムが「Velvet Motel」風?)。
ウェストコースト風の爽やかなメロディーとアレンジが心地良い04「向こう側」。
ミディアムテンポのナンバー05「夜汽車」は、フォーキーなポップソング。ちなみに、ハミングで鈴木祥子が参加。
アコースティックギターの弾き語り09「感情」は、ジョン・セバスチャンあたりを思い起こさせるナンバー。
10「目抜き通り」も、08「春雨道中」と同系統のポップソングで、ジョージ・ハリスンを思い起こさせるスライド・ギターのイントロが印象的

このママレイド・ラグ、1stアルバムがリリースされたは3ピースのバンドとして活動をしていたけれど、ドラムスが抜け、先日はベースの江口が脱退、現時点ではギター&ボーカルの田中拡邦のソロプロジェクトになっている。
最近リリースされた2ndでも、1stと同じく見事なポップワールドを展開していたけれど、今後はどういった展開を見せてくれるのか、まだまだ楽しみな存在のグループの一つ。


【収録曲】
01. 悲しみにさようなら
02. 彼女のタペストリー
03. カフェテラス
04. 向こう側
05. 夜汽車
06. ワトスン
07. Her Life
08. 春雨道中
09. 感情
10. 目抜き通り
posted by あれ at 00:55| Comment(4) | TrackBack(0) | ジャパニーズポップ 00〜 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月09日

中山美穂「Olive」

中山美穂「Olive」先日紹介した五島良子が曲を提供していると言うので興味を持った中山美穂の98年発表のアルバム「Olive」。
全く期待しないで聞いてみたのだけれど、予想に反してかなり良いアルバムだった。
フリーソウル的な曲もあり、ボサノヴァあり、埋もれさせておくには、もったいないアルバムかな、と思ったので今回ピックアップ。

まず、自分が興味を引かれたのは、アルバムのオープニング01「NAME」。
五島良子が提供した曲で、五島のアルバム「Decade To Date」では、五島自身が唄っているナンバー。
ソウルフルに歌い上げる五島バージョンよりも、ボーカルがソフトになった分、メロウな雰囲気がアップ。
ギター以外は打ち込みのようだが、それを感じさせないグルーヴ感が心地良い、ジャパニーズ・フリーソウルな1曲。

そして、続く02「Fiance 〜あなたのok わたしのyes」は、グルーヴィーなギターのカッティングで始まる、初期の角松敏生などにも通じるリゾートな雰囲気の1曲。
実際、中山美穂は、角松敏生のプロデュースでアルバムもリリースしている(自分は未聴)。
ブラスやフルートが爽やかな曲調に彩りを添えている。

他に、ボサノヴァを導入した09「Talk to 彼の匂い」、10「MISS YOU」もなかなか。
09「Talk To 彼の匂い」は、打ち込みのリズムの軽めのボサポップ。
一方の10「MISS YOU」は、アンニュイな雰囲気が中山美穂のボーカルとマッチしているシンプルなボサノヴァ。

そして、バラード系の曲も、このアルバムの聞き所一つ。
五島良子作・編曲の05「Oliveの呟き」は、塩谷哲によるフェンダーローズをバックに唄われる、ディープなソウルバラード。
アルバムラストの12「Jasmine 〜しあわせなこころ」は、Cindyが作曲のメロウなバラード。
中山美穂の声とマッチしたメロディーがなかなか聞き応えがある1曲。

他にも、キャッチーなメロディーの06「Baby Pink Moon」08「少年の瞳〜For Knack」、サルサのリズムを持ち込んだポップナンバー07「コワレタ ライム」など、なかなかの佳曲揃い。

スタッフのクレジットを見ると、プロデュースは中山美穂自身。
今まで、中山美穂と言う人に関しては、ほとんど興味など無かったのだが、このアルバムを聞いてみたら、意外と良いシンガーなのかな、と思うようになった。
機会があったら、他のアルバムも聴いてみたいと思う。


【収録曲】
01. NAME
02. Fiance 〜あなたのok わたしのyes〜
03. Labylinth
04. EL NINO
05. Oliveの呟き
06. Baby Pink Moon
07. コワレタ ライム
08. 少年の瞳〜For Knack
09. Talk to 彼の匂い
10. MISS YOU
11. Daddy
12. Jasmine 〜しあわせなこころ
posted by あれ at 16:46| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャパニーズポップ 90's | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月08日

ケルカン「蜜月世界旅行」

ケルカン「蜜月世界旅行」今回紹介するのは、日本のボサノヴァ・ユニット、ケルカン。
このケルカンは、以前に紹介した木村恵子が中心となったグループで、3枚のアルバムをリリースしている。
1stアルバム「毎日が恋愛映画」と、この2ndアルバム「蜜月世界旅行」では、元パール兄弟の窪田晴男(G)とのデュオと言う形で作品を発表(3rdのみギターは中村善郎)。

基本的にほとんどの曲がボサ・アレンジなので、全体的に落ち着いた雰囲気のアルバム。
曲によっては、塩谷哲のピアノやオルガン、ピアニカ前田のピアニカなどをフィーチャーしている。

このアルバムは、オリジナル曲が2曲で、残りはカバー曲と言う構成。
様々なポップスの名曲をボサノヴァ・タッチでカバーしているのは、なかなか聞き応えがある。
中には07「(I Can't Get No) Satisfaction」のような意外な曲のボッサ・カバーが収録されていたりして、なかなか面白い。

03「Never Gonna Let You Go」は、セルジオ・メンデスのカバー。
AOR期に入っていたメンデスの曲を、あえてボサノヴァにしてカバーしているのが、なかなか良い雰囲気。
04「Berimbau」は、幾多のブラジル人ミュージシャンにカバーされているバーデン・パウエルの曲をオーソドックスにポルトガル語でカバー。
05「I Will Wait For You」は、ジャック・ドゥミの映画「シェルブールの雨傘」で歌われた曲のカバー。
ミシェル・ルグランの曲で、これが意外とイイ雰囲気のボサに生まれかわっている。
06「My Cherie Amour」はスティーヴィー・ワンダーの曲。
テンポを落として、非常に静かな雰囲気のボッサとしてカバーしてる。
07「(I Can't Get No) Satisfaction」は、タイトルを見れば分かる通り、ローリング・ストーンズの代表曲。
ウィスパー気味のボーカルで、ジャジーな雰囲気満載でカバー。ストーンズの元曲の雰囲気は、微塵もなし。
09「Makin' Whoopee」は、ジャズのスタンダード曲らしい。
女性ボーカルってこともあって、ちょっとブロッサム・ディアリーっぽいかな、と思ったり。
10「Tie A Yellow Ribbon Around The Ole Oak Tree」は、トニー・オーランド&ドーンのヒット曲。
シンプルなボッサになった分、元曲のメロディーの良さが浮き彫りになった気がする。
12「Eternally」は、映画「ライムライト」に使われた曲で、チャップリン自らが作曲した曲。
これだけは、ボサではなく、塩谷哲のピアノをバックにしっとりと落ち着いた雰囲気。
アルバムのラストを飾るのにふさわしい1曲と言えるかな。

オリジナル曲もなかなか良く、特に02「Will You Marry Me」は、軽やかなメロディーと窪田晴男のギターが爽やかな印象を残す曲。
打ち込みのリズムが軽やかな雰囲気を作り上げていて、個人的には、非常に好きなタイプのポップ・ボッサ。
08「Happy Ending」は、結婚行進曲に乗せた、木村恵子によるポエトリー・リーディング。
唄声とはまた違った、意外と可愛らしい木村恵子の声が味わえる1曲。
ちなみに詞を書いたは、ピチカートファイヴの小西康陽。

このアルバム、それぞれの曲の副題に映画のタイトルがあてがわれているのも一つの特徴。
音楽の方面からでも、映画の方面からでも、イマジネーションを刺激してくれる1枚と言えるのかも知れない。


【収録曲】
01. Bon Voyage!
02. Will You Marry Me?(プリティウーマン)
03. Never Gonna Let You Go(第2章)
04. Berimbau(黒衣の花嫁)
05. I Will Wait For You(シェルブールの雨傘)
06. My Cherie Amour(いつの二人で)
07. (I Can't Get No) Satisfaction(昼顔)
08. Happy Ending
09. Makin' Whoopee(恋ゆくえ)
10. Tie A Yellow Ribbon Around The Ole OaK Tree(幸せの黄色いハンカチ)
11. The End Of Eden(昼下がりの情事)
12. Eternally(蜜月世界旅行)
posted by あれ at 00:50| Comment(2) | TrackBack(1) | ジャパニーズポップ 80's | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。