2006年05月23日

太田裕美「海が泣いている」

太田裕美「海が泣いている」78年にリリースされた太田裕美のアルバム「海が泣いている」。L.A.でレコーディングされた9作目。
全曲、作詞:松本隆、作曲:筒美京平という、「木綿のハンカチーフ」を生み出したコンビによる作品。
レコーディングには、リー・リトナーなどの現地ミュージシャンを起用し、アレンジャーには、太田裕美作品の常連・萩田光雄の他に、サイモン&ガーファンクルの「明日にかける橋」などを手がけたジミー・ハスケルらが参加している。

このアルバムは、何と言っても01「スカーレットの毛布」に尽きる。
リー・リトナーによるギター・カッティングが心地良い、メロウグルーヴなナンバー。
16ビートを刻むドラムスに、リトナーのギターなど、フュージョンのテイストが満載のナンバーなので、シティポップ好きの間でも、もっと評価されても良いのでは?
77年の「こけてぃっしゅ」もシティポップ的な評価が高い作品だけれども、それ以外のアルバムも聞き逃せないことを実感。

その他の曲を紹介すると、03「茉莉の結婚」は、メロディーがフォーク調ながら、サウンドはかなりL.A.風。
歌詞も、かなりドメスティックな雰囲気ではあるのだけれど、リトナーのギターソロは、一聴の価値はある。
レゲエのリズムをポップに消化した07「ナイーブ」も、ちょっと変則的ながら、なかなか良い雰囲気のポップソング。
10「∞(アンリミテッド)」は、ちょっとディスコ寄りのアレンジではあるけれども、シティポップの範疇に入れてもいいかな、というナンバー。
グルーヴィーなベースラインが、なかなかカッコ良い。

アルバム全体を通して聞くと、ちょっとフォーク色が強い面も感じるけれども、シティポップ好きなら「スカーレットの毛布」だけでもを聞いてみる価値はある。
筒美京平好きが、思わぬ所で役立ったと思った瞬間。


【収録曲】
01. スカーレットの毛布
02. 振り向けばイエスタディ
03. 茉莉の結婚
04. Nenne
05. 街の雪
06. 海が泣いている
07. ナイーブ
08. 水鏡
09. 女優(ヒロイン)
10. ∞(アンリミテッド)
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2006年05月22日

楠瀬誠志郎「冒険者たち」

楠瀬誠志郎「冒険者たち」これからの季節にピッタリの夏向けのアルバム、楠瀬誠志郎が87年に発表した2ndアルバム「冒険者たち」。
楠瀬誠志郎と言うと、一般的には「ほっとけないよ」のシングルヒットで知っている人が多いのかもしれないけれど、自分的には、このアルバムのタイトルチューン「冒険者たち」が彼のベストトラック。

初期の楠瀬誠志郎と言うと、何と言っても一人多重コーラスの魅力だろう。
一人多重コーラスと言うと、山下達郎が思い起こされるが、達郎のものよりも、個人的には楠瀬のコーラスの方が好き。
楠瀬のハイトーンのボイスが、非常に爽やかで、自分の感覚にフィットするのかな。
デビュー前は、杉真理や安部恭弘、EPOなどのバックコーラスとして活動していたこともあるらしい。

このアルバム、何と言っても「夏」を思い起こさずにいられない、爽やかなアルバム。
そんな雰囲気を演出しているのは、楠瀬の作るメロディーの他に、井上鑑によるアレンジの力も大きいのかもしれない(03、04は岡田徹のアレンジだが)。

01「〜Prologue〜冒険者たち」、アコースティックギターによる短いインストを受けて、アルバムのタイトルチューン「冒険者たち」がスタート。
この曲を聞くと、本当に「夏」を思い起こさずにいられない。
井上鑑の爽快感あふれるアレンジに、流れるようなメロディーライン、そこに楠瀬の多重コーラスが重なって、さわやかな「夏の風」と言うような印象を残す曲。
ちなみに、この曲にはコーラスアレンジとしてHi-Fi Setの山本俊彦が参加。
この曲は、中学生の頃、FM横浜でCMがかなり流れていた記憶がある。
そんな事を今まで覚えているってことは、やっぱり曲として印象が強かったんだろう。

その他の曲で言うと、02「トゥ・ラ・ジュール-日々の港-」が、ポップなメロディーに、ちょっとボサが入ったアレンジが良さげな曲。
04「君の選んだ小さな傘」は、杉真理がコーラスとコーラスアレンジに参加。
そのせいか、どことなく杉ナンバーに通じる雰囲気を感じる。
いわゆるAOR風な雰囲気を持った08「Highwayの憂うつ」も、なかなかの佳曲。
楠瀬自身のピアノによって唄われる09「Thousand Times」は、メロディーが美しい静かなナンバー。
ちょっとアーバンなビートを奏でる06「Elevator Town」や07「Movin' Night」みたいな曲もあるけれど、ちょっと楠瀬のボーカルの雰囲気ではないかな……。
やっぱり、この人はポップなナンバーの方が似合うように思う。

今日の陽気に誘われて、久々に棚の奥から引っ張り出してきたけれど、何となくこれからの季節によく聞くようになるアルバムではないかな、と思った。


【収録曲】
01. 〜Prologue〜 冒険者たち
02. トゥ・ラ・ジュール - 日々の港 -
03. バニラエッセンス
04. 君の選んだ小さな傘
05. Sugar Stick
06. Elevator Town
07. Movin' Night
08. Highwayの憂うつ
09. Thousand Times
posted by あれ at 00:03| Comment(2) | TrackBack(0) | ジャパニーズポップ 80's | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月19日

ザ・シャムロック「five - 僕がいた夏」

ザ・シャムロック「five-ぼくがいた夏」高橋一路と山森正之の二人によるユニット、ザ・シャムロック。
彼らが、ポニーキャニオンに残した最後のシングルが、この「five-僕がいた夏」。
シングルでしかリリースされていない楽曲だけれど、自分の中ではかなりのキラーチューン。

このシングルは、タイトルチューンである「five-僕がいた夏」が、本当に素晴らしい。
フルートをフィーチャーしたイントロ、ポップで爽やかなメロディー、軽やかにドライヴするベースライン、何度聞いても飽きがこない、初期シャムロックの集大成と言える1曲。
このシングルをリリース後、EPIC ソニーに移籍し、アシッド・ジャズ的なナンバーを連発する彼らだけれど、そう言う雰囲気を漂わせながらも、シティポップ風の軽やかな曲に仕上げている点にも好感が持てる。
移籍後は、その音楽のスタイルから、スタイル・カウンシルを引き合いに出されることが多かったけれど、言われてみれば、この「five-僕がいた夏」と言う曲も、「My Ever Changing Moods」や「A Solid Bond In Your Heart」などのスタカンのポップサイドに通じるものがある。

カップリングは、吉田美奈子が作詞を手がけた「微笑みの瞬間」。
ボーカルをとった、ジェフ(山森の愛称)らしい、ちょっとノスタルジーを感じさせてくれるポップソング。
シャムロック解散後に、バブルガムポップバンド、オレンジズを結成するジェフならでは、と言ってもいい出来映え。

このシングルリリース後、レコード会社を移籍し、2枚のアルバムを残して解散してしまう彼らだが、この対照的な雰囲気の2曲を聴くと、それも納得する。
高橋が、ジャズやソウルの要素を取り入れたシークレット・クルーズを立ち上げ、山森が、バブルガムポップや70年代の歌謡曲を取り入れたオレンジズを結成するのも、必然だったのだろう。

それにしても、「five」がシングルのみのリリースというのは、かなり残念。
自分も、中古盤屋を長年探し歩いてようやく手に入れられたものだったし(アルバムは比較的よく見かけるのだけど)。
ポニーキャニオン&EPICソニーのシングルだけを集めたベスト盤とかリリースされたりしないかなぁ……してくれたら最高なんだけれど。
こんないい曲を埋もれさせておく手はないと思うけどなぁ………。


【収録曲】
01. five - 僕がいた夏
02. 微笑みの瞬間
posted by あれ at 00:01| Comment(3) | TrackBack(0) | ジャパニーズポップ 90's | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月18日

飯島真理「For Lovers Only」

飯島真理「For Lovers Only」飯島真理、90年発表の5曲入りミニアルバム「For Lovers Only」。
カバー4曲とオリジナル1曲で構成されたミニアルバムで、普通にAORのアルバムとして聞いても全く問題ない、メロウな雰囲気に満ちたアルバムです。
ジャケットにも本人の写真が使われてないし、全編英語で唄われているアルバムなので、パッと聞いただけでは、洋楽に感じるかも?
プロデュースは、ジェームス・スチューダーと飯島真理との共同プロデュース。

最初、トッド・ラングレンの「Can We Still Be Friends」のカバーが収録されてると言う事で、興味を持ったのだけれど、期待した以上にアルバムの出来自体が良かった。
自分の中では、ポップな楽曲の印象が強かった飯島真理の印象を、少なからず変えたアルバム。

オープニングを飾るのは、ペイジズのカバー01「Who's Right, Who's Wrong」。
オリジナルを聞いた事ないのに、こういう事を書くのは何ですが、この曲が自分的にはベストトラックかな。L.A.発のAORと言う雰囲気がいい。
メロディーはもちろん、ギターのフレーズ、フェンダー・ローズの音色、どれを取ってもアーバンでメロウな雰囲気を作り出していて、単純に聞いてて気持ちいい曲。

唯一のオリジナルである04「I Can Never Say Good-Bye」も、なかなかの出来。
メロウな楽曲、という点では、このアルバムの中では01に続いてかなりイイ雰囲気。

02「The Thing We Do For Love」は、オリジナルがちょっと前にCMでも使われていた10ccのカバー。
オリジナルの雰囲気を忠実に守りつつも、女性ボーカルになっている事で、印象が柔らかくなったかな。
トッド・ラングレンのカバー、03「Can We Still Be Friends」は、やっぱりトッド好きな自分にとっては、オリジナル方がいいかな……。
かと言って、出来が悪い訳ではなく、比較的オーソドックスにカバーしてる部分も好感が持てる曲。

ただ、アルバムラストのビートルズのカバー、05「Hold Me Tight」は、どうなんだろう……。
悪くないけど、前4曲のメロウな流れを壊してる感じはしなくもない1曲。
ビートルズなら「Good Night」や「Blackbird」あたりをAOR風にカバーした方が雰囲気的には良かったんじゃないかな、なんて思ったり……。
このアルバムに入ってなければ、ポップでイイ感じのカバーではあるんだろうけど。

とは言っても、01「Who's Right, Who's Wrong」04「I Can Never Say Good-Bye」の2曲だけでも、このアルバムは二重丸。
そういうワケでも、メロウな音楽が好きな人には、たまらないアルバムであると思います。


【収録曲】
01. Who's Right, Who's Wrong
02. The Things We Do For Love
03. Can We Still Be Friends
04. I Can Never Say Good-Bye
05. Hold Me Tight
posted by あれ at 00:03| Comment(2) | TrackBack(0) | ジャパニーズポップ 90's | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月17日

松任谷正隆「夜の旅人」

松任谷正隆「夜の旅人」松任谷正隆が77年に発表したソロアルバム「夜の旅人」。
全ての曲が、作詞・松任谷由実、作曲/編曲・松任谷正隆によるもので、ボーカルを努めるのは、松任谷自身。
細野晴臣、鈴木茂、林立夫らのティンパンアレーを中心にバックを固め、キーボードは当然、松任谷本人。

このアルバムに興味を持ったきっかけは、ティンパンアレーの1stアルバム「キャラメル・ママ」に収録されていた「月にてらされて」と言う曲。
この曲でボーカルを取っている松任谷が、決して上手ではないのだけれど、なんとも言えない、いい味を出していて、かなり好きな曲になり、その他のボーカル曲も聴いてみたい、と思ったのが最初のきっかけ。

そんなアルバムでありますが、粒ぞろいの曲が全部で9曲。
このアルバムの中で、屈指のポップチューンと言えるのが、08「Hong Kong Night Sight」。
ポップなメロディーが良いのはもちろんですが、ハネるリズムが軽快で心地良い(このベースは細野さんなのかな?)。
後にユーミンが「水の中のASIAへ」でカバーするけれど、個人的にはユーミンのバージョンよりも、こちらの方が断然好き。
正直、ユーミンよりも、正隆のボーカルの方が、この曲にハマってると思います。

シティポップという視点で語るなら、06「気づいたときは遅いもの」は、松任谷なりのAORという雰囲気を感じる1曲。
他にも、オープニングの01「沈黙の時間」は、ストリングスとブラスがゴージャスな雰囲気をちりばめる、爽やかなポップソング。

そう言うポップな曲とともに、静かめな曲も、もちろん魅力がある。
個人的には、アルバムのタイトルチューンである09「夜の旅人」が、一番好きな曲。
マイケル・フランクス風とも言えるシンプルなサウンドに、朴訥に歌う松任谷の歌が味わい深い。
それから、ユーミンの書いた歌詞も、この曲を更に深いものしているように思う。
他にも、大貫妙子とのデュエット02「荒涼」、かまやつひろしに提供した曲のセルフカバー04「霜の降りた朝」なども、聞き所。

ポップな曲も、静かな曲も、どれも松任谷の声質に合っているので、じっくりと聞き込んでも飽きがこない1枚。
やはりユーミンのプロデューサーだけあって、自分の声の特製をうまく掴んで、それに似合う曲を歌ったんだろうな、と言う事も想像がつきます。
「シンガー・松任谷正隆」を気に入っただけかと思っていたら、思わぬ所で「プロデューサー・松任谷正隆」の手腕も知る事になった、という感じでしょうか。
まぁ、そう言う能書きは抜きにして、良いアルバムだと思います。

ちなみに、ジャケットのイラストは、ユーミンの作。僕はなかなか好きな感じの絵です。


【収録曲】
01. 沈黙の時間
02. 荒涼
03. 煙草を消して
04. 霜の降りた朝
05. もう二度と
06. 気づいた時には遅いもの
07. 乗り遅れた男
08. Hong Kong Night Sight
09. 夜の旅人
posted by あれ at 01:16| Comment(4) | TrackBack(0) | ジャパニーズポップ 70's | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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